ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)電シミュレーションを実施した結果をFig. 6に示す。電気自動車を想定し,JC08モードの要求パワー(W)に対する電圧挙動を新品時と劣化時で比較した。劣化時の内部抵抗は,初期比35%増加時のデータを用いた。どちらも3%以内の誤差でシミュレーションが可能であることが分かった。同様に,Fig. 7に減速回生車を想定したキャパシタの充放電シミュレーション結果を示す。劣化時のデータは,内部抵抗が初期比83%増加時,容量維持率80%時を用いた。キャパシタでも,3%以内の誤差でシミュレーションが可能であることが分かった。以上より,充放電モデルは,イオンの拡散メカニズムをモデル化した2RCモデルを用いることで,鉛バッテリのみならず,キャパシタやリチウムイオン電池へも適用でき,汎用性の高いモデル作成手法を構築した。4.劣化モデル4.1劣化モデルの考え方次に,劣化挙動のモデル化について検討を行った。Fig.8に,リチウムイオン電池の電極/電解液界面の被膜形成イメージを示す。バッテリの容量低下の主因子は,充放電や保存などの使われ方により,負極に被膜〔=SEI (SolidElectrolyte Interface)〕が成長し,SEI被膜中へのLi蓄積によるLi損失が主劣化である(2), (3)。一方,キャパシタにおいては,劣化後に比表面積が減少することが窒素吸脱着測定による比表面積測定から確認された。これは,充放電の副反応として電解液の劣化によって生成した分解生成物が活性炭の細孔に堆積し,比表面積が低下したと推定される。キャパシタにおいては,劣化と被膜形成による比表面積低下に比例関係があり,主要因として劣化を表現できることが分かった。以上より,リチウムイオン電池とキャパシタの劣化モデルは,SEIのような被膜形成による劣化への影響をモデル化することで,共通のモデルを作成できると考える。被膜形成に関して被膜の成長反応が,累積試験時間に,常に同じメカニズムで進行するものと仮定して,この被膜の成長速度が被膜の厚さの逆数に比例するという関係式が時間のルート則の根源となる理論モデルである(3)。つまり,被膜形成が主劣化のバッテリの劣化は,ルート則に従うといわれている。(a)Abscissa Axis=HourFig. 8 SEI Formation Behavior at Electrode/ElectrolyteInterfaceFig. 9にXPSによる電極表面分析から,初期に対する劣化後のSEI膜厚の測定結果を示す。容量維持率が小さくなるにしたがって,被膜が厚くなることが確認できた。(b)Abscissa Axis=√HourFig. 10 Deterioration Characteristic of Li Ion Battery一例として,Fig. 10に,リチウムイオン電池の保存時の劣化試験結果を示す。横軸を√tにした場合が,Fig. 10(b)であり,容量劣化が√tに比例して減少することが実験的に確かめられた。容量維持率Yは,以下の式(2)で表せる。Fig. 9 SEI Film Thickness Measurement (XPS)Y = -k√t+100 (2)k:劣化係数-188-