ブックタイトルマツダ技報　2015 No.32

概要

マツダ技報　2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報し,これまでにない,新たなコンパクトカー・インテリアの世界を創出した。そのために,匠の技が息づく造形美,クラスを超えた質感,ドライバー中心の空間構成,カラーコーディネーションなど,すべてを飛躍的に進化させた。ドライバーシートに納まるたびに所有する歓びを満たすとともに,もっと走りたくなる気持ちを高揚させるインテリアを目指した。デザインのヒントは小型飛行機である。メーターフードから広がるインストルメントパネルは飛行機の翼,丸い空調ルーバーはジェットエンジンの排気口,ドアトリムに放射状に広がるラインはジェットエンジンから吹き出す気流をイメージし,大空を翔るようにこのクルマを操っていただきたいとイメージしてデザインした(Fig. 8)。した。そして助手席側には,性能を犠牲にすることなく約30mmという通常の半分以下の高さを達成した薄型ルーバーを採用し,インストルメントパネルのスリットと一体化させてその存在感を消している。これにより,コクピットと助手席を車両の中央で隔てていたセンタースタックの存在を排除でき,広々とした革新的な助手席空間を造り上げている(Fig. 9)。Fig. 9 Interior SpaceFig. 8 Interior Overall View4.2二つのゾーンを組み合わせた革新的な前席空間通常の前席空間は,車両中央のセンタースタックを中心に構成される。しかし新型デミオでは,ドライバーのコクピットゾーンを中心と捉え直し,車両の中心を意識させない革新的な構成を取った。前席空間は,二つのゾーンの組み合わせで構成した。一つはドライバーが走りを楽しむことに集中できるコクピットゾーンである。メーターフードを頂点に,ドライバーを左右対称に包み込むようにデザインすることで,自然に体の中心軸をまっすぐ保つことができ,クルマとの強い一体感が生まれる。また,メーターフードからドアトリムとコンソールのニーレストパネルへとつながる動きによって,前進感を強調している。そしてもう一つが,左右への広がり感のある助手席ゾーンである。メーターフードから水平に広がるインストルメントパネルが,乗員の腰から下に安定感・安心感を与えながらも,上半身に対してはすっきりとした開放的な空間を造り出している。この二つのゾーンを際立たせているのが,丸型三つに薄型一つという独特な空調ルーバーの配置である。丸型のルーバーをメーターフードの左右に一つずつ配置してドライバーを挟み込むことで,コクピットゾーンの中心軸を強調4.3ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)操作視認系のシステムは,アクセラから採用したマツダのHMIコンセプト「Heads-up Cockpit」に基づいて開発した。メーターフードの上にはアクティブ・ドライビング・ディスプレイを,ダッシュボードには7インチセンターディスプレイを,そしてセンターコンソール上にはコマンダーコントロールを配置した。メーターは,円形の1眼メーターをウイング状のデジタルディスプレイで挟んだレイアウトを採用している。ハイグレード仕様では,中央をアナログタコメーターとデジタルスピードメーターを組み合わせ,左右にはインフォメーションディスプレーを配置した。その他の仕様では,中央をスピードメーターとして,左側のウイングにデジタルタコメーターを配置した。金属調のリングや精緻な立体文字盤により,スポーティかつ上質なデザインとした(Fig.10)。Fig. 10 Human Machine Interface-11-