ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)2.1温度,燃料条件Table 1に示すように最低保証温度はブラジルの最低気温に合わせて-5℃とした。また,評価燃料はブラジルに流通している燃料と同様にE22と含水5%のE95とした。Table 1 Evaluation Temperature and Evaluation FuelMinimum Temperature-5degCFuelE22Ethanol 22%, Gasoline 78%E95Ethanol 95%, Water 5%2.2ベースとしたエンジンの仕様エンジンはTable 2に示す新型Mazda2に搭載される油圧S-VT(Sequential Valve Timing)を採用するSKYACTIV-G 1.5Lをベースに検討した。このエンジンのスペックは以下のとおりである。Table 3 Fuel Property of Gasoline and EthanolGasoline EthanolChemical Formula--C2H5OH Theoretical Air Fuel Ratio-14.69.0Densityg/cm 30.750.79Octane NumberRon91-100111Low Calorific ValueMJ/kg4427MJ/Air kg33Latent Heat of VaporizationMJ/kg0.30-0.380.84Boiling PointdegC30-20078Flash PointdegC-4313Reid Vapor PressurekPa50-8020Table 2 Specifications of Base EngineFuelCylinder TypeBore×Stroke[mm]Displacement[cm3]Compression RatioValve SystemFuel Injection System3.開発目標GasolineIn-line 474.5×85.8149512 : 1DOHC 16ValvesHydraulic In-VVTDirect-injectionブラジル市場でBICのFFVを開発することを目指し,次の①~③を開発目標とした。①サブタンクレスであること。②環境によらずE22からE95の使用が可能であること。③E95使用時でもガソリン車やE22使用時と同等の始動性,走行性であること。4.エタノールの特性とエンジン性能Table 3にガソリンとエタノールの性状を,Fig. 1にガソリンとエタノールの蒸留特性を示す。これらからエタノールの以下の特性が確認できる。①エタノールのオクタン価はガソリンより高い。②エタノールの単位空気量当たりの発熱量はガソリンと同等である。③エタノールの気化潜熱はガソリンよりも多い。④エタノールは低沸点成分を含まず沸点が一定である。⑤エタノールは蒸気圧が低く一定である。①~③から,エタノールを自動車用燃料として使用することで,出力向上の利点がある反面,④~⑤から,冷間での気化改善が課題であることが分かる。Fig. 1 Evaporation Properties of Gasoline and Ethanol5.冷間でのE95の気化改善5.1考え方ガソリンは低沸点成分を含むため,冷間でも燃料噴射量を増やすことで混合気を最適な空燃比にすることが可能である。ただし,E95は低沸点成分を含まないため,ブラジルの最低気温である-5℃のような環境下では,燃料噴射量を増やしても最適な混合気にはならない。そこで,E95の冷間での気化改善および最適な混合気形成を目的にTable 4の技術を織り込んだ。(a)圧縮行程時の混合気温度を高めるために,圧縮比を上げるとともにIVC(Intake Valve Close,吸気バルブ閉時期)を進め有効圧縮比を高めた。(b)燃料の微粒化とペネトレーションの低下によるシリンダ壁面への燃料付着を抑制するために,燃料噴射燃圧を最大20MPaまで高めた。(c) E95が気化できるシリンダ内の温度と圧力の時に燃料噴射するために,圧縮行程噴射を行った。(d)混合気分布を最適化するために,圧縮行程-圧縮行程もしくは吸気行程-圧縮行程の分割噴射を採用した。(e)シリンダ内の温度低下を抑制しE95の気化を向上させるために,電動スロットルの最小開度を制限した。(f)シリンダ内の負圧を確保しE95の気化を向上させるために,電動スロットルの最大開度を制限した。-198-