ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報Table 4 Technology of Sub-Tank Less FFV for E95VaporizationRise TemperatureAtomize FuelInject E95 whenCylinder Temp. is HighHigh Compression Ratio(a)IVC Advance(a)High Pressure Injection(b)(b)Compression Stroke Injection(c)Divided InjectionMin. Guard of Throttle Angle(e)Max. Guard of Throttle Angle(f)Reduce AdheringFuel on Cylinder WallOptimize Air-FuelMixture(d)Fig. 2にE95の蒸気圧曲線とTable 5に示すガソリンエンジンおよびFFVエンジンの圧縮行程時の温度と圧力変化を示す。ガソリンエンジンではシリンダ内の温度と圧力はほぼE95の蒸気圧曲線を越えないが,FFVエンジンでは圧縮比を上げIVCを進めた効果でシリンダ内の温度と圧力はE95の蒸気圧曲線を大幅に越える。すなわち,FFVエンジンはE95が気化できる状態を作り出せることが確認できる。また,Fig. 2の星印のポイントがシリンダ内の温度と圧力がE95の蒸気圧曲線を越えるポイントであり,FFVエンジンでは約BTDC40degCAである。次節から実際の自動車の運転状態に沿ってサブタンクレスFFVに織り込んだTable 4の技術ついて具体的に説明する。なお,自動車の運転状態は次の3つに分けた。①冷間始動性領域②冷間アイドル領域③冷間走行性領域5.2 E95での冷間始動性(1)考え方エンジンの圧縮行程中ではシリンダ内の温度と圧力は共に上昇する。そのため,圧縮比を上げIVCを進めることで,圧縮行程時のシリンダ内の温度と圧力はE95が気化できる状態まで上昇する。次に,SKYACTIV-Gの直噴エンジンである噴射時期の自由度を活かし,圧縮上死点付近のE95が気化できる時に燃料噴射することで,サブタンクレスでもE95での冷間始動が可能と考えた。(2)圧縮比,IVCの選定Table 5に示すようにFFVエンジンでは圧縮行程中の温度を上げるために圧縮比を上げるとともにIVCを進めた。Table 5 Specifications of Gasoline Engine andSub-Tank Less FFV EngineGasoline EngineFFV EngineFuelGasolineE22-E95Cylinder TypeIn-line 4In-line 4Bore×Stroke[mm]74.5×85.874.5×85.8Displacement[cm3 ]14951495Compression Ratio12 : 114 : 1Valve SystemDOHC 16ValvesDOHC 16ValvesHydraulic In-VVTHydraulic In-VVTValveIVOATDC8degCAATDC8degCATimingIVCABDC82degCAABDC60degCAInjection SystemDirect-injectionDirect-injectionFig. 2 Relationship between Ethanol Vapor Pressure andCylinder Condition at Compression Stroke(3)噴射時期の選定FFVエンジンではBTDC40degCAより上死点寄りでE95が気化できる状態になることが確認できたため,このBTDC40degCAを基に噴射時期を選定した。Fig. 3は冷間で当量比2のE95を噴射した時の気化率をCAE解析した結果である。一括噴射では噴射時期が上死点に近づくに従い,気化率は高くなる傾向にある。しかし,噴射時期がBTDC20degCAになるとBTDC40degCAと同等の気化率であり,気化率は改善しない。これは噴射後の気化時間が不足するためである。更に,シリンダ壁面の燃料付着を減らし,かつ気化率を高めるため,分割噴射についてもCAE解析を行った。Fig. 3に示すようにBTDC40degCAとBTDC20degCAの分割噴射は,BTDC40degCAの一括噴射よりも気化率が改善する。この結果からE95での冷間始動の噴射時期はBTDC40degCAとBTDC20degCAの分割噴射とした。-199-