ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)6.エンジン制御6.1エタノール濃度推定制御E22とE95では理論空燃比が異なるため,E95使用時はE22使用時よりも燃料噴射量を増やさないと理論空燃比にはならない。また,FFVエンジンはガソリンエンジンと同様に,LAFS(Linear Air-Fuel Ratio Sensor)を用いて理論空燃比にフィードバック制御している。そこで,この燃料フィードバック制御の増減量から燃料タンク内のエタノール濃度を推定する。Fig. 10に濃度推定制御の概要を示す。燃料給油時に燃料タンクのレベルゲージの出力を用いて給油判定を行い,この給油判定後にLAFSを用いた濃度推定制御が作動する。ンジンオイルから蒸発する燃料量を推定する制御モデルそして,この2つの制御モデルを使い燃料希釈量と燃料希釈量がなくなるタイミングを推定し,濃度推定制御の精度を改善させた。7.おわりにサブタンクを用いることなくE95の冷間での気化改善と燃焼改善を行い,開発目標どおりE95でもガソリン車と同等の始動性,走行性能を有するサブタンクレスFFVが開発できた。また,エタノール燃料は気化潜熱により吸気温度が低下することで充填効率が上がり,オクタン価上昇によりノックを回避できるため,出力が向上する。すなわち,今回開発したサブタンクレスFFVは,冷間はガソリン車同等,温間はガソリン車以上の走行性を実現できるFFVである。更なる改善を行い,早い時期での市場導入を目指す。参考文献(1)齋木ほか:ブラジル向けCIVIC用1.8Lフレックスフューエルエンジンの開発,Honda R&D technical reviewVol.19,No.1,pp.13-19(2007)(2)中島:FFV用エンジンにおける低温燃焼の改善,Honda R&D technical review,Vol.22,No.2,pp.126-133(2010)(3)相川ほか:高濃度エタノール混合ガソリン(E85)の気化特性とエンジン低温始動性,Honda R&D technicalreview,Vol.21,No.1,pp.170-177(2009)■著者■Fig. 10 Algorithm for Estimation of Ethanol Concentration6.2オイル希釈量推定制御E95では冷間での燃料増量率が多いため,オイル希釈量(エンジンオイルに希釈している燃料量)がガソリン車よりも多い。暖機が進むと,このオイル希釈した燃料が蒸発するとともに,蒸発した燃料がシリンダ内に流入し空燃比がリッチとなる。すると,LAFSによるフィードバック補正は燃料を減量する側に補正し,濃度推定制御はアルコール濃度を低濃度と誤学習する。この誤学習を回避するためには,オイル希釈量を正確に推定する必要がある。そこで,まず次の2つの制御モデルを作成した。①燃料噴射量とエンジン水温からエンジンオイルに混ざる燃料量を推定する制御モデル②推定エンジン油温と推定クランクケース内圧からエ古市展之島本祥西尾貴史渡辺友巳大橋美貴典安田京平-202-