ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
Temperature[℃]マツダ技報No.32(2015)い設計にはEHLによる解析が不可欠である。マツダでは20年ほど前からEHL解析プログラムを開発し,順次活用を進めてきた。Fig. 9は,EHLで表面粗さを考慮するための修正レイノルズ方程式と,その式を使って解析したクランクピン軸受の油膜解析結果の1例である。Modified Reynolds EquationFig. 7 Piston Ring Oil Film Analysis Example2.3シリンダライナ変形の抑制摩擦抵抗の小さい低張力リングでも,オイル消費を少なくするにはシリンダライナのいびつな変形を抑え,リングをライナに沿いやすくすることが必要である。そこで,ライナ上部の高次変形を抑えやすいオープンデッキ構造を採用した。しかし,冷却の不均一やガスケット面圧の不均一によっていびつな変形を起こすため,シリンダブロックの変形解析を実施し,ライナの高次変形を抑制した。Fig.8は,ライナ変形を元にリングによるライナ上のかき残し油膜厚さを計算した結果である。この計算結果を元にブロック形状などの見直しを行い,高次のライナ変形を抑制することによって,低張力リングでもオイル消費を抑えることができた。? ?xx ???? ?3h? e3?p?h? ? hyx ?? ?y ???? ? ? ? 12?e?p?p1200?p?hU ?h?h?s?y ?? ? ( 1 ?? )? ? 2 ?x?tFig. 9 Calculation Result of Crank-Pin BearingLubrication FilmFig. 10は,精度検証のため,油膜温度の計算結果を実測の軸受温度と比較した結果で,この解析によって2℃程度の誤差で温度を予測できることがわかった。140130120MeasuredPredicted110100Fig. 8 Cylinder Bore Distortion Analysis2.4クランクシャフトの抵抗低減と摩耗防止(1)クランクシャフトの抵抗低減エンジンの軸受には,主にすべり軸受が使われており,その代表がクランク軸受である。クランク軸受は,燃焼室圧力やピストンの慣性力などによる変動荷重を受けるため,軸心が軸受すきま内で複雑に動き回り,油膜厚さが絶えず変動している。クランク軸受は,焼き付きなどの問題を起こしやすく,信頼性開発の主要テーマの一つである。そのため,古くから流体潤滑理論による油膜厚さの解析が行われてきている。しかし,軸の曲げ・ねじりによるたわみや軸受ハウジングの弾性変形などの影響が大きく,精度のよ90800 1000 2000 3000 4000 5000 6000Engine Speed[rpm]Fig. 10 Comparison of Crank-Pin Bearing TemperatureSKYACTIV-D 2.2Lにおいてクランク軸の軸受の摩擦抵抗を減らすため,軸受部の細径化を行っているが,軸受投影面積の減少によって面圧が高くなり,開発初期にピッチングが発生した。また,偏当たりによる摩耗・焼き付きの未然防止も必要なため,軸受油膜の解析を実施して,実働時の面圧分布を均一化し,油膜厚さを確保することによって,ピッチングの発生防止とともに焼き付きや摩耗も防止した。-206-