ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)3.レーンキープ・アシスト・システム(LAS)フロントガラスに装着されたフォワード・センシング・カメラ(FSC)により白線を検知し,車両と車線との相対関係を推定した上で,車線内に車両を維持するように電動パワーステアリングコントロールユニットに目標制御量を伝達し,運転を支援する。今回,①車線中央への常時誘導,②車線逸脱時回避支援の2機能に加えステアリング振動警報制御を開発した。警報のみの場合に対し,認知,判断,操作遅れ時間を減少させ,低覚醒時や不注意による車線逸脱事故の低減を狙いとしている(Fig. 7,8)。作動条件:車速約60km/h以上(手放し運転状態では非作動)Electric Power AssistSteering MotorForward Sensing Camera舵角のサーボ系をもたないシステムの場合,多様な車両運動状況により目標制御量に対する追従性が悪化する。そこで車両ダイナミクスモデルに基づき操舵トルクを推定するオブザーバを開発し,目標制御量をリアルタイムで予測補正するフィードフォワード制御を行い目標追従性と操舵フィールの双方を高い次元で確保した。3.2制御アルゴリズム制御アルゴリズムをFig. 9に示す。LASの作動領域はライントレースしている緩やかな操舵と逸脱回避支援時の比較的早い操舵があり,舵角速度,舵角量ともに非常に範囲が広く,ロバストな制御が求められる。ところが操舵系の制御外乱(セルフアライニングトルク,以下SAT)は,舵角速度,舵角量に応じて非線型性が非常に高くヒステリシスも存在する上に,車両ダイナミクスの影響を強く受けるのでマップベースのフィードフォワード制御ではステア応答の遅れによるハンチングや誘導遅れよる逸脱が発生する。この課題を解決するため,オブザーバによる状態フィードバック制御を導入した。Fig. 7 System Architecture3.3オブザーバ車両モデルオブザーバ構築にあたっては量産ハードウェアの演算処理速度の制約を考慮する必要があるため,LASが作動する領域における車両挙動を分析の上,比較的処理負荷の少ない2輪モデルを採用することとした(Fig. 9,10)。YtrgTtrqIdetifierVechicleθtrg-KB1/S CACentering Lane Departure PreventFig. 8 Mazda Lane-keep Assist System3.1開発の狙いマツダにおけるレーンキープ・アシスト・システム(LAS)制御では,ドライバのステア操作フィールを優先させることとし,その上で車線維持性能を満足させることを狙いとした。通常,自動操舵等精密制御の必要な分野では,強力なハンドル角サーボにより操舵系の非線型性などを補償し,追従性能を確保する手法をとるが,これではドライバの操舵フィールを阻害する。このため今回は舵角サーボを採用せず,代わりにトルクを制御目標量とすることとした。しかし,一般に操舵系は非常に強い非線型性をもつため,SAT EstθSlip EstFig. 9 Algorithm of Lane-keep Assist SystemlrlfFyr FyfFxrβFxfθSlipθftireFig. 10 By Cycle Modelここで,γを車両ヨーレイト,βを車体滑り角,車両の慣性モーメントをI,フロント,リヤそれぞれのタイヤ位置と重心点との距離をIf,Irとする。この場合線型性を担保できる領域では,以下のように車両状態を記述できる。-218-