ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)論文・解説39高応答遮熱壁面における瞬時熱流束計測技術Technology of Instantaneous Heat Flux Measurementon a High Response Heat Insulation Coating中尾裕典*1*2青木理*3清末涼Yusuke NakaoOsamu AokiRyo Kiyosue原田雄司*4*5角島信司*6小池祐輔Yuji HaradaShinji KadoshimaYusuke Koike要約内燃機関の冷却損失改善技術として,燃焼室壁面に低熱伝導,低比熱の遮熱材をコーティングする手法が検討されている。その際の遮熱材表面温度は,ガス温に追従して数百℃変化することが想定される。本研究では,遮熱壁温を高応答計測可能な壁温センサを開発し,これが内燃機関の燃焼室壁温の計測に十分な応答速度を有しているかを確認した。加えて,本センサをRCEM(Rapid Compression Expansion Machine)に適用して壁温計測と壁面熱流束算出を行い,この結果を用いて壁面熱伝達率算出方法を検討した。その結果,本遮熱壁は遮熱なしに比べ,Re(Reyonldos number)変化がNu(Nusselt number)に与える影響が小さいことが分かった。SummaryTo reduce the cooling loss of internal combustion engines, a method is currently being studied for applyingheat insulation coating with low heat conductivity and low specific heat capacity onto the combustionchamber wall. With this technology used, the temperature of the coating surface is assumed to fluctuatein a range of several hundred degrees Celsius in accordance with the gas temperature. In this study,a highly-responsive wall temperature sensor was developed and its response speed was confirmed to beappropriate for measuring temperature of the combustion chamber wall of the internal combustion engine.In addition, this wall temperature sensor was applied to RCEM to measure the wall temperatureand calculate the wall-surface heat flux. Besides, a study was conducted on a method for calculating wallsurfaceheat transfer coefficient, using the measurement and calculation results above. As a result, thiscoating confirmed that the influence that Re fluctuation gave Nu in comparison with noncoating is small.1.はじめに温暖化やエネルギーセキュリティの課題に対処するため,内燃機関の熱効率改善が求められている。この策として燃焼室壁へのセラミックス等の遮熱材適用による冷却損失低減(1)が試みられてきたが,期待の効果は得られていない。伊藤ら(2)はセラミックス材では壁温上昇による圧縮仕事増加と排気損失増加により熱効率向上効果が得られないと報告している。一方,低熱伝導,低比熱の遮熱材を燃焼室壁面にコーティングし,壁温をガス温に追従して数百℃レベルで振幅させて冷却損失低減を図る方法がCAE検討結果で報告(3) (4)されている。また,熱効率予測のCAE手法である燃焼室内ガスの状態量0次元モデルと構造部分の熱伝導1次元モデルを連成計算するサイクルシミュレーションにて,藤本ら(4)は壁面熱伝達率算出にWoschni式(5)を用いているが,遮熱壁適用時の予測精度は検証されていない。本研究では,遮熱材コーティングの壁温を高応答計測可能なセンサを開発し,RCEMにて遮熱壁温がガス温に追従して数百℃レベルで変化する状態の計測,熱流束および遮熱壁の熱伝達率を算出し,熱流束低減効果を明確にする。2.遮熱壁温センサ最近では燃焼室壁温の高応答計測に同軸型薄膜熱電対を用いた計測例(6)が報告されており,高応答壁温計測には同軸型熱電対の使用が一般的になりつつある。しかし,同軸型熱電対は熱接点を熱電対構成金属部材の表面に形成するため遮熱壁面上には形成できない。これに対し,Assanisら(7)はジルコニア溶射膜の壁温計測のために積層型薄膜熱*1~6技術研究所Technical Research Center-222-