ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報電対を採用した。本研究では,積層型薄膜熱電対方式を採用し,遮熱壁温の高応答計測が可能なセンサを開発した。2.1センサ構造とセンサ設置が温度場に与える影響Fig. 1に遮熱壁温センサの構造を示す。基材は薄膜熱電対の耐久性を考慮して窒化アルミとした。この熱拡散率は燃焼室材AC8Aアルミ合金の48mm2 /sに近い43mm2 /sである。熱電対金属は,耐熱性,耐酸化性で有利なAg-Niとした。Agは硫化や塩化が懸念されるため,燃焼実験に使用する燃料はイソオクタン(C8H18)とした。熱電対素線は基材に耐熱接着剤で固定後,遮熱なしセンサは先端を研削処理し,遮熱センサは遮熱コーティング後に研削処理を行った。薄膜熱電対の熱接点は,先端中央にφ1.5mm形状となるようスパッタリングにて成膜し,各膜厚0.4μmにて積層した。センサ表面から内部への熱流束一次元性は,センサ側面へ熱拡散率0.84mm2 /sのアルミナを配置して確保した。Fig. 2にセンサ表面写真を示す。薄膜熱電対は剥離や断線なく仕上がっている。次に,センサ設置が温度場に与える影響を検証するため,燃焼室に遮熱なしセンサを設置した際のセンサ内温度分布と熱流束変化を,非定常熱伝導FEM解析で確認した。計算条件は後述の実験条件Case 1を設定し,その他条件である燃焼ガス温はRCEM燃焼圧力から気体の状態方程式で算出,壁面熱伝達率はWoschni式から算出した。Fig. 3に最大熱流束発生時のセンサ構造ありなしモデル中央縦断面温度分布,Fig. 4に表面熱流束を示す。図によると,温度差は表面で僅かであり,熱流束差も最大1.72%と小さく,センサ設置の影響は無視できる。ThermocoupleJunctionφ1.5mmAg Filmt=0.4μmAg Wireφ0.5mm12.06.0Ni Filmt=0.4μmInsulation CoatingNi Wireφ0.5mmHeat ResistantAdhesiveLowThermalConductivityCeramics(Al 2O 3)HighThermalConductivityCeramics(AlN)Fig. 1 Thin Film Thermocouple (with Insulation Coating)2.2遮熱壁温センサの応答速度評価製作した遮熱壁温センサの応答速度評価を実施した。応答速度評価手順は,まず,出力既知のレーザでセンサ表面を加熱してセンサ測温点の過渡温度を計測し,次に,同出力の熱エネルギーを遮熱壁へ照射した時の遮熱壁温の過渡変化を計算で求める。次に,これらを比較して,遮熱壁温変化に対する測温点温度変化の遅れで応答速度を評価する。なお,1次遅れ要素の時定数は,ステップ応答が定常値の63.2%に達する時刻となるため,加熱開始から測温点が遮熱壁温の63.2%となる時刻を応答速度として定義した。(1)Ag-Ni熱電対の温度校正JISクラス2K型熱電対を用いたAg-Ni熱電対の熱起電力測定結果をFig. 5に示す。この結果から各温度間を3次スプライン関数補完し,Ag-Ni熱電対温度換算を行った。(2)レーザエネルギー立ち上がり出力評価用レーザは,照射時間,照射エネルギーを任意設定できる半導体レーザ(波長532nm)を使用した。このレーザについて,以下の方法でレーザ照射直後の出力を特定した。通常,レーザ出力測定には定常計測のパワーメータが使われるが,定常計測では立ち上がり出力は捉えられない。そこで,まず,レーザ光をパワーメータ受光部に照射してWall Heat Flux [MW/m 2 ]without Insulation Coating with Insulation CoatingFig. 2 Thin Film Thermocouple Surfacewithout Sensor Modelwith Sensor Model(at Maximum Heat Flux)Fig. 3 Temperature Distribution of the Cross Section75706560555045[℃]without Sensor Model5with Sensor Model43?qmax = 1.72[%]2100204060Time [ms]Fig. 4 Calculation Result of Wall Heat Flux-223-