ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)壁面熱流束qaveも同様に燃焼室全体平均値を算出した。qave =Σ(qi ・ Ai) /ΣAi (2)結果をFig. 15に示す。この結果から,遮熱コーティングによる壁面熱流束の大幅な低減が確認できる。5.熱伝達率評価サイクルシミュレーションで用いる熱伝達率としては,Woschni式(5)が知られており,この式はヌセルト数Nuとレイノルズ数Reの関係を表す実験式(5)に基づいている。Nu = C・Re0.8 (3)そこで本研究では,ヌセルト数とレイノルズ数の関係を,遮熱材有無で比較することとし,ヌセルト数の計算に必要な熱伝達率hは,RCEMで計測した燃焼室壁面全体の平均熱流束qave,及び平均壁温Twallから,次式にて算出した。h = qave / (Tgas ? Twall) (4)ここで,燃焼室内ガス温Tgasは,気体の状態方程式から算出した。なお,遮熱なしの場合,圧縮行程(燃焼開始前),及び,膨張行程後半では,壁温変化が小さく,壁面熱流束のS/N比が低いため,熱伝達率hの誤差が大きい。そこで今回は,膨張行程前半(Case 1:40~50ms,Case2:65~75ms)を解析対象とした。ヌセルト数とレイノルズ数を算出する際の代表長さは,Woschni式と同様に,燃焼室ボア径とした。レイノルズ数の代表速度vは,Woschni式では次式で定義されている。v = C1Sp + C2(VdTr) / (PrVr)(P - Pmotoring) (5)この式の記号は,C1,C2は行程ごとの定数,Spは平均ピストン速度,Pはガス圧,Pmotoringはモータリング時ガス圧,Vdはシリンダ容積,Pr,Vr,Trは初期状態を示す。右辺第1項のSpは主にエンジン回転速度に比例した吸気流動を表していると考えられる。しかし,供試したRCEMは吸気流動がなく静止状態から圧縮行程が始まる。そこで,ピストン頂面で直接駆動されるガス流速を正確に表現できるよう,平均ピストン速度に替えて瞬時ピストン速度を使用した。その上で,まず,遮熱なしのCase 1で,式(3)の関係に従うように係数C1を調整した。その結果をFig. 16に示す。この時のC1は,Woschni式で採用している値の約1/10となった。また,この値を用いて算出したCase 2の関係もFig.15にプロットしたが,Case 1と同様に,式(3)を表す直線に沿っていることが分かる。次に,遮熱ありの結果をFig.17に示す。代表長さと代表速度の定義は,C1の値も含めて上述の遮熱なしと同じにした。また,比較のため式(3)の関係を破線で示す。遮熱ありではプロット点の傾きが小さくなり,レイノルズ数変化がヌセルト数に及ぼす影響が小さい傾向を表している。このことは,高温遮熱壁面の近傍ではガス温も高くなり,壁面近傍の粘性係数が増加して境界層が厚くなり,その結果,熱伝達率が燃焼室内の平均的な流動の影響を受け難くなったためと考えられる。過去の研究では,高温壁面では消炎距離が減少し,熱流束が増える例が報告されている(8)が,本実験範囲では上述の境界層が厚くなる効果が強く出たと思われる。Cylinder Pressure [MPa]0 20 40 60 80 100TIme [ms]Fig. 12 Cylinder PressurePiston①Piston③Piston④Head①Head③Head⑤8without Insulation Coating642average [N=5]030354045505560[ms]4with Insulation Coating2average [N=5]030354045505560Time [ms]Fig. 13 Instantaneous Local Wall Heat Flux (Case 1)Wall Heat Fflux [MW/m 2 ]121086420Wall Temperature Fluctuation [K]86420300200100100Case 10 20 40 60[ms]Case 2Case 1without Insulation Coatingwith Insulation Coatingwithout Insulation Coatingwith Insulation Coatingaverage [N=5]average [N=5]00 20 40 60[ms]200Case 200 20 40 60 80 100Time [ms]Fig. 14 Instantaneous Wall Temperature-226-