ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)この時,式(1)はとなる。ただしJmotはモータからファイナルギアまでの慣性モーメント,Jpはピニオンギア周りの慣性モーメント,gはトランスアクスルの減速比,Tmotはモータトルクである。本実験車はLSD(Limited Slip Differential gear)のような差回転を制限する機構を持たないため,直進時ではピニオンギアの回転をゼロ,すなわちFig. 7はスリップ率と駆動力の関係を模式的に示したものである。Fd0は現在発生している駆動力,Fd*は目標駆動力,yj0は現在のスリップ率,yj*は目標スリップ率であり,添え字のにjは高摩擦路面を表すHと低摩擦路面を表すLが入る。2重ループを持つフィードバック制御で駆動力制御を行う時,スリップ率と駆動力が線形関係にあると見做せる領域で応答性を保つためにはドライビングスティフネスkdに合わせてフィードバックゲインKを決める必要がある。となるように制御する。これは左右輪反力の小さい方に合わせて制御することを意味しており,左右の路面摩擦係数が異なるときは摩擦係数の低い方に合わせて制御を行う。Fig. 7 Typical Relationship between F and yFig. 4 One Wheel Model Fig. 5 Differential Gear4.制御の考え方4.1ドライビングスティフネスを使った駆動力制御法制御対象を前述のようなモデルとし,式(3)とFig. 1の関係を用いて制御法を考える。スリップ率を使った駆動力制御法はたとえば文献(4)のような2重ループを使った駆動力制御法が提案されてきた(Fig. 6)。しかしながらこのような目標の駆動力を得るまでに微細に駆動力を制御する制御方法では今回の実験車のような1ディファレンシャルギア,1モータを持つ車両に適用すると駆動系共振の抑制と駆動力制御応答性がトレードオフになり十分な性能を得ることができなかった。そこで,以下のような方法を考案した。そこで本稿では,ドライビングスティフネスをyj0とFd0の関係から求め,その逆数と要求駆動力から目標スリップ率を算出する方法を提案する。そして,そのスリップ率と車両からフィードバックされたスリップ率の差分を求め,ドライビングスティフネスからモータトルク指令値を算出するというものである。ドライビングスティフネスの同定方法はさまざまな提案があるが,ここではスリップ率と駆動力の関係が原点を通ると仮定し,単純に比を使い,時間で移動平均することで同定している。4.2ドライビングスティフネスを使ったフィードバック制御の構築文献(4)など従来の提案では,スリップ率から目標駆動車輪速を算出し,実駆動車輪速との差分から指令トルクを算出していた。著者らは目標駆動力が一定の時,目標値が変わりにくい車輪加速度のフィードバックの方がより安定して制御できると考えた。車輪加速度の導入にあたり,Fig. 6 Double Loop Method (Fujimoto, 2011) (7)-230-