ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
- ページ
- 244/306
このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている244ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている244ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報を減らそうとする取り組みは,自動車のみならず,道路空間を共有する他の交通参加者(鉄道や歩行者など)へ展開・適用することで,より安全・安心な道路交通社会の実現に資すると期待される。広島市では,路面電車が市民の足として定着しており,一日平均約15万人の利用がある。近年,路面電車はエコな交通手段として世界的に見直されるなかで,自動車も自由な移動手段として発展を続けている。この二つの交通形態が,それぞれのメリットを活かしつつ共存できる交通体系を作るために,東京大学,マツダ(株),広島電鉄(株),(独)交通安全環境研究所が協働して,鉄道とクルマとの安全な連携を目指して共同研究に取り組んでいる。路面電車と自動車との間の無線通信に自律型車載センサを組み合わせることで,自動車と路面電車双方の安全性が高まるシステムを構築し,2013年に「広島における世界初の路面電車-自動車間通信型ASV」として広島市内の公道で広島ITS実験を実施した(4), (5)。本稿では,車車間通信を利用した路面電車-自動車間通信型の安全運転支援システムについて,システムの概要と支援機能の内容を述べるとともに,広島市内の公道で実施した機能検証実験とその結果について述べる。2.路面電車-自動車間通信型ASVの開発広島ITS実証実験を実施するにあたり,「マツダアテンザASV-5」実験車(Fig. 1),およびデモ路面電車を開発し,自動車と路面電車との間の車車間通信を利用した安全運転支援システムを搭載した。本章では,開発した安全運転支援システムの概要を述べる。Fig. 2 System ConfigurationVehicle-to-Tram Communication at 700MHz BandGPSVehicle Identification,Position(Lat., long.),Moving Direction, Velocity,Brake/Turn Signal Informationetc.Mazda Atenza ASV-5TramGPSFig. 3 Communication System700MHz帯高度道路交通システム標準規格(ARIB STD-T109)に準拠した700MHz帯無線通信機を用いた(Fig.3)。この車車間通信機を用いることで,マツダアテンザASV-5と路面電車は,GPSで測位した位置情報(緯度,経度)や進行方向,速度,ブレーキやウインカなどのドライバ操作情報などを,100msの間隔で送受信する。Fig. 1 Mazda Atenza ASV-52.1システム構成Fig. 2に,マツダアテンザASV-5に搭載したデバイスを示す。カメラやレーダなどの車載センサに加えて,車車間・路車間通信を行う通信デバイスを搭載した。また,ドライバへの情報提供デバイスとして,ウインドシールド投影型のHUD (Head-Up Display:ヘッドアップ・ディスプレイ)とスピーカを搭載した。マツダアテンザASV-5と路面電車間の車車間通信は,3.搭載した安全運転支援機能自動車と路面電車の事故実態に基づき,自動車,路面電車に搭載する支援サービスを検討し,アプリケーション開発を行った。本章では,自動車と路面電車の事故実態の概要と,マツダアテンザASV-5に搭載した安全運転支援サービスの機能について述べる。3.1自動車と路面電車の連携による支援路面電車が関与する衝突事故の内訳を表したグラフを-235-