ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)Fig. 4に示す。Fig. 4より,並走する自動車との衝突事故(40%),右折待機中の自動車との衝突事故(31%),直前を横断する自動車との衝突事故(9%)の割合が高いことが分かる。このことから,これら3つの事故類型に対応した安全運転支援サービスを開発することとした。すなわち,駐車車両や障害物を避けるために自動車が軌道敷内に進入してくる場面,路面電車の前方で自動車が右折しようとしている場面,見通しの悪い路地から自動車が出て軌道敷を横断する場面において,衝突の可能性を判断し,自動車のドライバ,路面電車の運転士双方に対して情報提供・注意喚起するサービスを構築した(Fig. 5, 6)。なお,路面電車側の支援機能の開発は,(独)交通安全環境研究所が取り組んだ。(a) Provision of information ontram approaching out of thecorner(b) Provision of information onapproaching tram in right turn9%6%6%6%2%40%Collision with parallel runningautomobileCollision with stopped automobileto turn right at an intersectionCollision with crossing automobile infront of tramcarCollision with oncoming right‐turnautomobileLaterally contacted on a curvedsectionSide crash(c) Provision of information onapproaching tram in overtakingFig. 5 Supports for Car Driver31%At a streetcar stopSource: Investigation by Hiroshima Electric Railway, 2012Fig. 4 Collision Types Involving Tram3.2システムの機能動作本節では,Fig. 5 (a), Fig. 6(a)に示した見通しの悪い路地から自動車が出て軌道敷を横断する場面における支援を例に取り上げ,マツダアテンザASV-5,路面電車双方におけるシステムの機能動作について述べる。一連の機能の動作の流れをFig. 7に示す。(1)マツダアテンザASV-5での支援システムを搭載したマツダアテンザASV-5が,信号のない交差点から路面電車が走行する道路に進入するときに,接近する路面電車が存在すると,喚起音とともにFig. 7の右下に示す画像をHUDに表示することでドライバに路面電車が接近していることを注意喚起する。マツダアテンザASV-5が,対象となる交差点に接近し十分に減速すると,支援機能がアクティベートされる。自車が交差点に接近し,十分に減速したことは,ドライバのブレーキ操作の有無,車速,交差点に対する自車の位置から判定する。このとき,路面電車が存在し,注意喚起する必要があるかを判断する。注意喚起を出すタイミングの判断は,路面電車のTTC(Time To Crossing:交差点までの到達時間=交差点までの距離/速度)に基づいて行う。車車間通信で獲得した路面電車の位置と走行速度,マツダアテンザASV-5に搭載した道路地図データベースを用いて逐次TTCを計算し,あらかじめ設定しておいた閾値を下回った時点で注意喚起を出す。注意喚起の終了タイミング(a) Provision of information onright-turn vehicle at blind corneraheadFig. 6 Supports for Tram Driverは,路面電車が交差点に到達したこと,もしくは自車が発進したことを判定して算出している。(2)路面電車での支援システムを搭載した路面電車が交差点に接近したときに,交差する道路から直進,もしくは右折しようとする自動車が存在すると,音声メッセージを出力するとともにFig. 7の左下に示す画像をディスプレイに表示することで運転士に対して自動車が交差点に進入しようとしていることを知らせる。更に,自動車との距離が縮まり衝突の危険が高まったときには,Fig. 7の左上に示す画像で運転士に注意を喚起する。以上のように,自動車と路面電車の双方で支援を行うことで,万が一,ドライバ,運転士のどちらかが認知ミスを起こした場合でも,他方がカバーすることで衝突を防ぐことができ,双方の安全性を高めることが期待できる。4.広島でのITS公道実験(b) Provision of informationon right-turn vehicle aheadFig. 5, 6に示す7つの支援機能を確認するために,2013年9月から10月に広島市内の公道で走行実験を行った。実験は,Fig. 8に示す広島電鉄江波線(江波駅~舟入本町-236-