ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)に胴体を押し当てて,運転姿勢を維持していると考え,ドライバの自重およびハンドルからの反力成分が垂直抗力となり,シートとの摩擦を利用して,旋回時の横力とつりあいを保って運転姿勢を維持していると仮説を立てた。この仮説の下,速度100km/hで曲率半径300mの旋回をしているときの遠心力と,操舵トルク(すなわちドライバが発生する操舵力)によって発生する摩擦力を計算するとFig. 4となる。なお,この計算にはTable 1に示す実測値を使用した。Fig. 4より,ドライバの操舵トルクが1.2Nm以下となると,遠心力が摩擦力を上回ることになる。そこで,このつりあいを超えないように操舵支援量の上限を抑える制御則を構築し,効果を確認した。Fig. 5に結果を示す。胸鎖乳突筋や大腿四頭筋の力みなく,上腕三頭筋などの腕の操舵負担のみを軽減できている。以上のように操舵支援に関して,2章に示した考え方に基づいた設計により,腕のみならず体全体としての負担を低減できる支援量を決定することができた。θ1+θ2F xθ1F y = T (2/r)F x cos(θ1+θ2) + F y sin(θ1+θ2)θ2mg sinθ2mgma yF x cos(θ1+θ2)+ F y sin(θ1+θ2)mg sinθ2μ(F x cos(θ1+θ2) + F y sin(θ1+θ2)+ mg sinθ2)Fig. 3 Force during CorneringTable 1 Simulation ParametersSymbol Parameter Value Unitm Mass of Upper Body 412 Ng Gravity Acceleration 9.81 m/s 2r Diameter of Steering Wheel 0.350 mθ1 Angle of Seat 0.414 radθ2 Angle between Seat and Steering Force 0.305 radμStatic Friction Coefficient 0.44ay Lateral Acceleration 1.96 m/s 2Force(N)[N]Assist100%100▼90Assist80%▼Assist60%▼Assist40%▼Assist20%▼Assist0%▼80Centrifugal Force forceCentrifugal forceFrictional Frictional Forceforce700 1 2 3 4Steering torque(Nm) [Nm]Fig. 4 Centrifugal Force and Frictional ForceWhich Act on the BodyTricepsBrachii(%MVC)Previous Logic(%MVC)Proposal Logicstraight R1000R300R300~ straight R1000R300R300~6 ~R300 R1000 6 ~R300 R100044-LKA OFF22-LKA ON2030405060203040506020201515(Left)Sternomastoid(Right)QuadricepsFemoris1020304050602010020304050601510520 30 40 50 60Time (s)102030405060201002030405060151052030405060Time (s)Fig. 5 Reduction Effect of Muscles Activity by LAS4.速度制御への設計4.1協調型ACC(CACC)の狙いと課題ACC(Adaptive Cruise Control)についても,ドライバとの調和を目指して取り組んでいる。ACCの機能を拡張し,車車間通信を活用して車両の状態量のやり取りを行い,制御に活用することにより,複数の車両で協調しながら車群の制御を行う協調型クルーズコントロール(CACC)という考え方がある(2)。CACCでは,Fig. 6に示すように,自車の速度変動を先行車の速度変動よりも小さくコントロールする(速度増幅率:自車の速度変動/先行車の速度変動を1以下に抑える)ことにより,後続への速度変動の伝播を抑制し渋滞を緩和する。この技術開発が国交省,国総研と自動車各社による共同開発で進んでいる。そしてITS世界会議2013では通信プロトコルを共通化した上で,各社が独自に開発した制御方法による隊列走行実証実験を実施した(3)。VelocityVelocityChangeVAR: VelocityAmplificationRateVAR > 1 VAR < 1TimeFig. 6 Concept of CACC to Suppress TrafficCongestion先行研究より,速度増幅率を抑制するには先行車の速度変動に対する応答性を上げることが有効であることが分かっている(2)。しかし単純に応答性を上げると,先行車の動きに過敏に追従することになり,乗り心地等のフィーリングが悪化する。それを防止するには,車両の挙動がドライバの知覚と調和させることにより解決できると考えた。-242-