ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報4.2追従減速における評価軸とドライバの反応(1)評価軸の策定LASでの取り組み(1)と同様,ターゲットとしている追従~減速シーンにおけるACCの評価の良いベンチマーク車両(車両A)と技術検証車両(車両B)との比較評価を行った。主観評価のコメントからテキストマイニングを行ったところ,追従減速という動的なシーンでの評価軸として下記(a)~(c)の三つが挙がった。なお車間距離も重要なファクターだが,対象としているシーンでは,(a)と(c)に関わる一因子となる。この三つの評価軸の中でベンチマーク車両Aは,特に(b)の性能が技術検証車両を上回っていた。(a)加減速タイミングの良さ(b)加減速度の滑らかさ(c)加減速度の絶対量の適切さ実験を通してこれらの評価軸を示す客観指標を調べ,それを用いて性能を計った。(2)ドライバの反応調査Ⅰ:ベンチマーク車両との比較車両Aと車両Bを用い,下記の手順による実験を行った。①一定速度で走行する先行車と,ACCにて追従する後続車を用意し,被験者は後続車に乗る。②先行車は指示された加速度で減速し,①に対して低速となる定常走行をする(Fig. 6と同様の走行)。③上記②に追従して減速した際の先行車および後続車の車両挙動と被験者の状態を計測する。上記の性能に関してフィーリングを評価・比較できそうな物理量として,車両の挙動(速度変化,加減速度)と,人間の加速度の知覚に関連の深い顎部の筋活動(4)および頭部の動きを計測した。被験者は3人であり,先行車は0.1Gおよび0.2Gを目標とした減速を行った。この実験では,車両が車両Aと車両Bとで異なるため構造の特性も異なる。しかしながら本実験は動きの評価が中心となる点と,評価の良い車両Aをそのまま比較したかったことから,シートや窓枠形状等の構造部材の変更はせず,またシートポジションについて厳格な規定は行わず,被験者にとって,それぞれの車両で違和感のないドライビングポジションを取ることとした。実験の結果として先行車および自車の加速度と,頭部のピッチ角速度(前屈がマイナス)をFig. 7に示す。また,同じ実験ケースでの顎部の筋活動として,胸鎖乳突筋の反応をFig. 8に示す。なお胸鎖乳突筋は,顎を上げ頭部を上に向ける際に使う筋肉である。Fig. 7から車両Bは車両Aと比較して,減速Gが小さいにもかかわらず,頭部が急激に前屈することが分かる。またFig. 8から車両Aに対して車両Bは,常に筋の活動量が大きく,姿勢維持の負担が大きいことが分かる。頭部の動きや筋負担が車両挙動の知覚に影響があることが分かっている(4)ので,この挙動を抑えることが乗り心地の改善につながると考えた。Pitch Rate ofHead(rad/s)Pitch Rate [rad/s]Accelerationof Vehicle(G)ax [G]Pitch Rate ofHead(rad/s)Accelerationof Vehicle(G)EMG(MVC)EMG(MVC)Pitch Rate [rad/s]ax [G]Acceleration(G)EMG(vs. Max) | ax [G]Acceleration(G)EMG(vs. Max) | ax [G]-0.20.40.20-0.2-0.4-0.60.050-0.05-0.1-0.15-0.2-0.250.40.2-0.2-0.4-0.60 2 4 6 8 10 12 14 16 18024681012141618time [s]00.050-0.05-0.1-0.15-0.2-0.250.60.40.20Head Vehicle pitch angle ANo Rapid Movement of the HeadProceeding VehicleTime(s)Head Vehicle pitch angle BFollowing VehicleLarge Nodding Motion0 2 4 6 8 10 12 14 16 18024681012141618time [s]Time(s)(※It is superimposed on three persons' result)Fig. 7 Test Result of Following and BrakingVehicle A-0.412141618202224time [s]0.60.40.20-0.2-0.4Acceleration ofproceeding vehicleTime(s)Vehicle BEMGAcceleration ofFollowing Vehicle18 20 22 24 26 28time [s]Time(s)Fig. 8 Muscular Activity on Proceeding Vehicle Braking(3)ドライバの反応調査Ⅱ:ドライバ自身の運転との比較次に,ドライバ自身が後続車である車両Bを運転し,上述(2)項と同様に追従~減速~追従の一連の走行を行った場合と,車両BのACCによる追従減速との比較である。Fig. 9に,実験結果として頭部のピッチ角と先行車両および自車両の減速度を示す。ドライバ自身による運転では,減速度の傾きが急であり,かつ減速度そのものもACCよ-243-