ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)り大きいが,頭部の動きは安定している。一方でACCでは,一旦頭部を仰け反らせた後,大きく下に向ける挙動となった。制動開始のタイミングは図中(a)として示すようにドライバの方が早いことが分かった。Driver Pitch (Vehicle angle B)Pitch Angle of Head (rad)Longitudinal Angle [rad] Acceleration(g)| ax [G]Pitch Angle of Head (rad)Longitudinal Angle [rad] Acceleration(g)| ax [G]0.20-0.20.20ACC Pitch (Vehicle angle B)Angle of Head PositionAcceleration ofFollowing VehicleAcceleration ofProceeding Vehicle-0.4024 Distance 6to Proceeding 8 Vehicle 10at (a): 26(m) 1214time [s](a)-0.2Definition of Head AngleAnteflexion(-), Retroflexion(+)-0.40 2 4 6 8 10 12 14Distance to time Proceeding [s] Vehicle at (a):19(m)Fig. 9 Comparison with Driver Operation and ACC上記の2つの結果を考察する。ACCの場合,ドライバは車両の挙動が出る前に顎を上げ,頭部を後屈する。車両の応答前なので慣性力が筋を活動させている原因にならないことから,この反応は先行車両の減速をドライバが知覚したことに起因していると考えられる。このことから,ドライバが期待する減速タイミングは,制御ブレーキのタイミングよりも早いと解釈できる。そしてその後,すでに緊張した筋に対して減速度が加わることにより,頭部(または上体とともに)前方に倒れると考えることができる。以上の考察から,制御タイミングをドライバの姿勢変化に調和させて減速度を発生させることにより,ドライバの期待にあった車両挙動となり,頭部の挙動が小さくなると考えた。それに加え速度増幅率抑制の条件を満たすよう減速量を制御することにより,乗り心地と速度増幅率低減性能の両立が可能との仮説を立て,制御則の構築を行った。4.3仮説および制御則の立案と効果確認制御モデルのエッセンスをFig. 10に,基本となる制御則を式[1]に示す。式[1]の右辺第一項は相対距離に比例する項,右辺第二項は相対速度に比例する項であり,右辺第三項は,先行車加速度のフィードフォワード項である。この加速度は,ACCの場合,カメラまたはレーダによる相対速度推定値の微分を伴うためノイズ等の影響が大きく主な要素として使用できないが,CACCでは通信により高精度な先行車両の状態量が取得できるため使用可能である。すなわちACCでは,右辺第一項と第二項にて制御するが,CACCではすべての項を使用する。adesFollowing Vehiclev0:Velocityades:Target Accelerationr:DistanceFig.10 Simplified Control Model?Proceeding Vehiclev1:Velocitya1:Acceleration31? 1? 2?1 0?2 11 aK? K r ? hv ? K v ? v ?・・・・[1]Ts ?K1:車間距離ゲインK2:相対速度ゲインK3:加速度フィードフォワードゲインh:車頭時間(sec)T:FF項伝達特性係数上記の構成による基本特性を解析的に評価すると,式[1]の右辺第三項がないACCでは,速度増幅率を抑制するためのパラメータは限定的であることが知られている(5)。そのため,乗り心地との両立が困難である。一方で右辺第三項を利用するCACCでは,速度増幅率を満たすパラメータに幅をもたせることができる。そこで右辺全体として,ドライバのブレーキタイミングを模擬する伝達特性とし,かつ速度増幅率1以下となるようK3とTを設定した。制御の効果を確認するため検証実験を行った。実験はACC,CACCの制御手法の異なる車両3車種3台に,先行車を加えた4台による追従減速について,ドライバによる運転とACCおよびCACCについて実施した。実験はテストコースにて行われたが,ドライバによる運転では一般道での運転を模擬するように指示した。速度増幅率の低減効果の確認結果をFig. 11に示す。結果を見るとドライバによる運転では,先行車の挙動を見ながらの操作であるため,動きが安定せず3台後の速度変動量が38%増加している。また先行車の減速に対する,制動行為のタイミング(アクセルオフを含む)は,car1,car2は先行車の停止灯に反応し0.8~1.2秒後に開始しているが,car3については先行車の接近を視認して制動を行っているため反応が遅く減速幅も大きいことになった。ACCの結果では,制動開始は遅いものの動きは安定しており,3台後の速度変動量は22%増加と改善している。CACCでは,制動開始は停止灯により制動する運転に近く,動きも安定していて3台後でも先行車の最低速度を下回らないように制御できている。次に,フィーリングの結果として顎部の筋負担の比較をFig. 12に示す。実験結果から,ACCでは自車の減速の直前から筋活動が増加しているが,CACCでは減速タイミングが早まっており,目立った筋活動が発生せずに顎部の負担が低下していることが分かる。次にベンチマークとの比較で差があった「加減速の滑らか?-244-