ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)PM酸化反応においては,酸化物イオンや電子,正孔の動きやすさが重要な指標となる(2)と考え,電気伝導度測定を行った。直流四端子法を用いて温度依存性について測定した結果をFig. 9に,酸素分圧依存性について測定した結果をFig. 10に示す。以上の結果より,Zr-Nd-Pr-Oの優れた酸素交換特性には,Prの価数変化の影響は小さく,Prの固溶により正孔が生成されやすいことが強く関与していると分かった。5.3触媒粒子表面の酸化活性向上Pr固溶によりPM酸化活性の向上が認められた酸素イオン伝導材料について,その特性を最大化することを目指し,触媒粒子表面の酸化活性を向上する貴金属(PGM)担持状態について検討した。酸化物粉末への貴金属担持の際の細孔内部への貴金属の侵入を抑制することを目的として,従来用いてきた貴金属原料に含まれる金属錯体よりも大きな金属錯体を有する貴金属原料を適用した。Fig. 11には,XPSを用いて測定した触媒表面の貴金属濃度(横軸)及び,DPF担体に触媒を担持しモデルガス条件で評価したPM酸化性能(縦軸)の関係を示す。Fig. 9 Temperature Dependence on ElectricalConductivity Measured in AirFig. 10 Oxygen Partial Pressure Dependence onElectrical Conductivity Measured in N2, Air/N2,Air and O2 at 600 o C温度依存性の傾きから導出したZr-Nd-Pr-Oの電気伝導の見かけの活性化エネルギーは,Zr-Nd-O,Zr-Nd-Ce-Oに対して約1/2と小さく,酸化物イオンが移動しやすいことが示された。また, DPF再生時の温度条件(600℃近傍)において,高い電気伝導度を示した。温度依存性は直線的であることから,電気伝導は酸化物イオン伝導が支配的であり,Prの固溶は酸化物イオンの移動度の向上に寄与することを確認した。酸素分圧依存性については,Zr-Nd-O及びZr-Nd-Ce-Oにおいては,明確な酸素分圧依存性は確認できなかった。一方,Zr-Nd-Pr-Oにおいては,酸素分圧が減少するに従い電気伝導度が減少した。この結果から,Zr-Nd-OへのPr固溶は,Ceを固溶する場合と異なり,正孔を生じやすい性質が付与されることを確認した(4)。Fig. 11 Relation between Carbon Oxidation Rate andSurface PGM Concentraion (Conventional= 100)貴金属溶液に含まれるPGM1原子あたりの化合物サイズが大きい原料を用いることで,触媒粒子表面の貴金属濃度は約30%増加し,これにより,PM酸化速度が約40%向上した。優れた酸素交換特性を有するZr-Nd-Pr-Oについて,PMと触媒の固体どうしの酸化反応に関与する粒子表面の反応性を局所的に向上させることで,更なるPM酸化性能の向上が得られたと考える。5.4開発触媒の実機によるPM酸化性能評価上述した材料技術を適用した新たな開発触媒について,実機にてPM酸化性能評価を行った結果をFig. 12に示す。新たな開発触媒は,従来触媒に比べ,貴金属担持量を約1/5まで低減しても,約20%PM酸化性能が向上した。開発触媒は,酸素交換反応特性の向上,触媒材料表面への貴金属の局在化により,低貴金属担持量にもかかわらず優れたPM酸化性能を有することを確認した。-250-