ブックタイトルマツダ技報　2015 No.32

概要

マツダ技報　2015 No.32

No.32(2015)マツダ技報3.3骨格革新による新たなクロスオーバ価値の実現タイヤ~アクセルペダル間の寸法拡大は,クロスオーバの新しい骨格実現にも貢献している。クロスオーバに相応しい大径タイヤを装着するには,従来の横置きFFでは,ドライバの足元フロアを上昇させて対応する必要がある。CX-3では,タイヤ~アクセルペダル間の寸法拡大により,足元フロアを上昇させることなく,大径タイヤの装着を実現している(Fig. 5)。これにより,グランドクリアランスを確保しつつ,全高を国内機械式立体駐車場に納まる1550mmに設定でき,他社が追随できない独自のポジショニングを達成した。また,足元フロア位置を新型デミオと共通にすることができ,新型デミオとの共通構造でクロスオーバを実現することができた。Previous ModelCup holderout of Rearch areaNarrowNew ModelCommanderswitchFig. 6 Rear Console Layoutin Rearch areaWideCup holder x2Conventional FF LayoutDemio⇒CX-3HatchbackshortlongCrossoverUPFig. 5 Large Tire and Passenger Layout4.センタアーキキテクチャLower HeightJapan Parking lots(<1550)4.1コンソール周りの操作系の革新前述,Fig. 2に示すように,従来の横置きFFでは,室内にタイヤハウスが張り出すために,ペダル配置が内寄りになると同時に,乗員も内側に着座する配置が基本である。これは,スモールカーで特に顕著である。タイヤ~アクセルペダル間の拡大は,ペダル配置の最適化とともに,乗員全体を車両外側に配置することを可能とし,従来のコンパクトカーでは実現できなかった,幅広いコンソールスペースを使った操作系の最適配置を実現した。具体的には,新たな操作デバイスであるコマンダなどを追加しながらも,従来は直列にしか配置できなかったパーキングブレーキとカップホルダを,上級車種と同様の並列配置とした。これにより,全ての体格の人が,適切なリーチの中で一連の操作ができるドライバーズカーとして理想的な運転環境をスモールカーで実現した(Fig. 6)。また,前席乗員を車両外側に配置したのに対して,後席乗員は相対的に内側に着座するポジションとした。これによって,センタ部分が前方へ抜けていることにより後席乗員に広さ感をもたらすとともに,前後席でコミュニケーションが広がる空間を実現した(Fig. 7)。Fig. 7 Communication Space4.2乗員~車両外側スペースの効率化乗員着座位置を車両外側に配置することによる課題は,乗員~車両外側スペースの縮小であり,特に国内5ナンバー幅を達成するには,側面衝突に対応するスペース,構造確保が最重要課題である。乗員より外のスペースにおいても,寸法制約となる機能,構造を明確にする,主要寸法の決定ルートの考え方を採用し,最小スペースでグローバルな側面衝突要件を満足する寸法と構造を明確にした(Fig.8)。Dummyof Side CrashAirbagExpansion SpaceDoor Trim(w/ Door Module)OAW(Japan 5No.Limit)BeltlineReinfocementDoor GlassDesign Space(w/ Outer Panel)Fig. 8 Example of the Route to Decide Overall Width4.3運転環境におけるCA構想と乗員着座位置(1)運転環境におけるCA構想,固定/変動構想CX-5以降の商品群は,“デミオでもアテンザでも人間にとって理想の運転席は共通”という考え方の基,車種群-17-