ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)げることで分散性の改善を試みた(Fig. 4)。領域の接着力を実験的に測定することは簡単ではない。そこで,界面で起こる現象や反応を電子レベルで見える化できる計算化学シミュレーションを用いて,界面の官能基に着目して相互作用の大きさを評価した。改質処理が異なる材料の界面モデルを構築し,量子力学計算プログラムMaterials Studio DMol3を用いて構造最適化計算および電子密度解析を行った。各モデルについて最適化構造の全エネルギーから接着エネルギーを算出(2)し比較を行った。Fig. 3 Dispersibility of CF by Molding ConditionsFig. 4 Concept of CF Content Reduction3.実験3.1実験方法電波遮蔽機能を得るCFペレットは,繊維長8mmのCFを40wt%含有したものを使用し,マトリクスPPの変性とCF表面の改質処理の組み合わせが異なる3タイプ(A,B,C)とした。このCFペレットとPPペレットをドライブレンドしてCF5wt%未満に希釈して射出成形することにより,360mm×250mm,板厚1.5~2.5mmの平板を作製した。電波遮蔽効果の評価は,ホーンアンテナ(23dBi標準矩形,導波管規格WR-34)を用いて後側方レーダの電波を模擬した評価装置を用い,電波の送信機と受信機の間に成形品を置いて電波の減衰量を測定した(Fig. 5)。試験片の設置に際しては,CFの分散性を図る一つの指標とするため,樹脂の流動方向と電波の偏波方向が平行な場合を「平行」方向,直交する場合を「垂直」方向とし,置き方を90度変えて測定した。弾性率の測定は,成形品から切り出したテストピースを用いてISO 527-1に準じて,後側方レーダの使用環境を想定し雰囲気温度80℃にて行った。成形品中の繊維解析には,デジタルマイクロスコープを用いた。PPとCF界面の接着性評価に関しては,ミクロ,ナノのFig. 5 Measuring Method of Electromagnetic ShieldingEffect3.2実験結果まず,成形品中の残存繊維長による影響を評価した。繊維長は,射出成形の混練条件を振って変化させることを試みた。A材を使用し,CF添加量は1wt%とした。残存繊維長と電波遮蔽効果の関係をFig. 6に示す。左から混練度がHard→Mildとなるにつれ平均残存繊維長が長くなり,ねらいどおり遮蔽効果が高くなることが確認できた。繊維長を長く残すことにより,繊維同士の接触確率が増えたためと考えられる。ただし,混練度を低くし過ぎると,CFが未解繊となる傾向があった。射出成形機のシリンダサイズやスクリュ仕様により混練状態が変化するため,成形機仕様ごとに混練条件のチューニングが必要である。Fig. 6 Relationship between Fiber Length andElectromagnetic Shielding Effect次に,改質処理の影響を評価した。処理の異なるA~C-254-