ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)4.定量評価技術の構築金型強度,アンダーカット処理機能,突き出し機能といった3つの金型機能を必要最小限とするために必要な技術として,からくりの解明と,これを机上で再現するための連成解析技術を構築した。これはFig. 6に示すように,「射出&保圧・冷却・アンダーカット処理&突き出し」といった一連の成形工程を解析する過程で解析結果を別の解析と連成させることで,より実態に則した結果を得る技術であり,後述する3つの主要な技術で構成されている。Injection & PressCool DownEjectionAnalysis・Flow of Resin・Strengthof Mold・CoolingPerfomance・Sticking Force・"MAKURI"・Strain for EjectFig. 6 Analysis Performed in Process4.1金型構造解析と樹脂流動解析の連成解析技術金型が成形時に変位する量を正確に予測してバリ不良を防止するため,金型構造解析に用いる樹脂圧力に樹脂流動解析の結果を用いた連成解析技術を構築して,その精度を向上させた。具体的には,金型をFEMモデルで再現して,設備への固定を想定した拘束を掛けた解析モデルを作成する。その解析モデルに摩擦係数,材料物性値を入力し,バンパ面へ樹脂流動解析で計算された圧力を付与する解析である。通常,金型構造解析と樹脂流動解析は異なる解析モデルを用いており,簡単に圧力を連成することはできない。そこで,異なる解析モデルでも圧力情報の共有が容易となるように,解析作業工程と圧力付与のロジックを整備し,短時間で高精度な連成を可能とした。その結果,従来の樹脂圧力を一定の力で均一に付与する解析と比べ,樹脂流動解析によって得られる緻密な樹脂圧力分布を金型構造解析で再現することで,実態に近い金型変位量が算出できるようになった。更に任意のタイミングでの樹脂圧付与が可能なため,射出・保圧・冷却と成形中に変動する樹脂圧によって時系列で変化する金型の変位も確認可能になった。そして,この解析結果から金型変位量を算出し,バリ不良の発生評価を行う。これらの取り組みにより,金型の割りによる強度低下によって,樹脂圧による金型変位量が許容値を超えて不良の発生が予測される場合は,設計段階で金型を補強するなどの対策を織り込むことが可能となった。4.2外まくり解析技術ワンピース金型の実現に必要不可欠な外まくりを可能とするため,実際のひずみと解析値との一致を目指し,バンパのひずみの量や位置の調査といった実際の現象を基に,材料物性や解析モデルの作り方,判定基準の調整や見直しを行った。その結果,バンパの塑性変形や傷付きを定量評価するための外まくり解析技術を構築できた。外まくり解析は金型構造解析と同様に,タイヤアーチ部周辺の金型構造とバンパ形状をFEMモデルで再現し,金型モデルとバンパモデルの間に接触条件を設定した解析モデルを作成する。その解析モデルに,摩擦係数,材料の物性値を入力して,アンダーカット処理に必要な量を強制変位させる解析である。この解析からバンパのひずみ量と変位量を算出して外まくりの可否を判断する。この際,可否判断へ用いる基準を一律ではなく部位別に数値を変更したり,可視部以外へひずみを分散させ,まくりが成立する範囲を広げている。例えば,魂動デザインに影響しないバンパ最下部に,スリットを入れるなどの対応策を施し,ひずみの基となる応力を効果的に分散させる手法が挙げられる(Fig. 7)。この解析技術によって,バンパ裏面に割りの出ないまくり構造を広く採用できるようになり,魂動デザインを阻害せずにアンダーカット処理ができるようになった。更に,割りをなくすだけでなく,従来の傾斜コア構造では成立しないFig. 8のような形状にも,本技術を適用してまくり構造とすることで成立できた事例もある。"MAKURI" Analysis ResultAAngle-AStrain Exceedthe ReferenceslitFig. 7 Improvement by SlitStrain is Dispersedby Slitdispersed-260-