ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)共通の理想のドライビング環境を目指している。スモールカーでこれを達成する方策として,オルガンペダルなど,従来上級車種にのみ適用されてきたユニットをスモールカーに展開することに加え,立ち姿勢から寝姿勢まであらゆる着座姿勢に対応する固定/変動構想を構築した(Fig.9)。DriverpostureUprightpositionLowerpositionStructure commonFig. 9 Concept of Operation System CommonalitiesFig. 9に示すように,着座姿勢に応じて,ペダル,ステアリング,シフトの理想を実現するレンジをそれぞれ規定し,これに応じてきめ細かい固定/変動構想を設定した。具体的には,ペダル類は,理想レンジが比較的広いので,3種類の構造で全姿勢をカバーする構想とし,ステアリング,メータ,シフト配置については,理想のレンジが狭いために,着座姿勢が比較的近い車種群で共通構造とした上で,その中で変動要素をきめ細かく設定することで各車要件に対応した。新型デミオ,CX-3のステアリング,メータ,シフト周りは乗員着座姿勢が近いため共通構造とし,一括で効率的に理想運転環境を実現した。(2)新型デミオ,CX-3の乗員着座位置乗員着座位置は,スモールカーの「魂動デザイン」である躍動感の表現と,空間を有効活用するために,アップライトポジションとし,アクセラ,アテンザに対して立ち姿勢とした。また,CX-3については,前述の国内機械式立体駐車場に納まる1550mmの全高に加え,高い乗車姿勢による視界の良さ,乗り降り性の良さなど,クロスオーバとして訴求点となる複数の要件を最適に満たす乗員ポジションに設定した(Fig. 10)。ValueOperation System commonalities conceptBrakeAccelerator Steering&ClutchModels PedalMeterPedallayoutlayoutlayoutOAHCX-5CX-3DemioAxelaAtenzaEye-point heightγβαOptimumZoneprevent glare of a headlighttoward an on-coming vehicleFig. 10 Optimum Zone of HeightγβαOptimizedfor each postureShiftKnoblayoutOptimizedfor each posturefine lookout viewbetter speed feelingfeel securein corneringJapan Mechanical parking LotsHeighteasy In/Egress5.リヤアーキテクチャ5.1スモールカーのリヤアーキテクチャのねらい新型デミオ,CX-3のリヤサスペンション形式はCX-5,アテンザ,アクセラのマルチリンクに対してトーションビームアクスル(以下TBA)を採用した。両者は構造面での違いが大きいためTBAに最適化したアーキテクチャとした。CX-5,アクセラ,アテンザのマルチリンクは,トレーリングアーム取り付け位置を上方配置することが重点ポイントである。これは,突起などの路面入力をサスペンションストロークにより吸収させ,ブッシュへの前後入力を低減することで,乗り心地性能を向上させる方策である。これはマツダ共通の乗り心地性能向上の考え方であるため,サスペンションが異なるスモールカーでも共通の注力点である(Fig. 11)。Previous ArchitectureTrailing Arm PivotDownSetDirectionof travelSKYACTIV ArchitectureUpsetTrailing Arm PivotDirectionof travelRecession AngleTransverse Forceof BushRecession AngleTransverse Forceof BushSmallForceLargeForceFig. 11 Reduction of Rear Suspension Transverse Forceまた,クロスオーバを持つスモールカーでは4WDの設定が必要である。従来構造ではTBA 4WDは2WDに対してサスペンションやボデーに大幅な変更を加える必要があり,性能面でも十分とはいえないなどの課題がある。この理由は,TBAの左右を連結するクロスビームが4WDのプロペラシャフトと干渉するためである。クロスビームの上下位置は,トレーリングポイントと連動するジオメトリ上の制約があり,かつクロスビームが横剛性を分担するため,剛性確保のためにクロスビームをストレートに配置する必要があるなどレイアウトの制約が大きい。従来は,2WDで理想のジオメトリとストレート配置を実現し,4WDはそれをベースに,クロスビームを湾曲させて4WDを成立させてきた(Fig. 12)。-18-