ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)こうして実現したクロスビームの上方化は,4WDにおいても駆動系を避けてクロスビームを極力ストレートに通すことを可能とし,2WD/4WD双方の理想を実現させた。このように,排気系の下通し配置の実現は,2WD/4WD,ハッチバックとクロスオーバを含めた共通構造を実現するキーとなるブレークスルーであったといえる。TBA2WDでの排気系の下通しは世界初であり,骨格レベルでの他社に対するアドバンテージとなっている(Fig. 16)。CX-3 2WD必要がある。従って常に新しい技術を導入しつつも,冗長性を許容しない構造が要求される。このような環境におけるマツダのクルマ造りは,厳格なデザインルールに基づくモジュラ志向による分業とは異なり,各機能,システムの理想構造を熟知したうえで,車両全体で最適に統合することにある。このアプローチこそ,マツダのブランドを体現する一貫した商品を創出し,商品力でリードし続けていくために必要不可欠なものであると考える。参考文献(1)長島聡:欧州OEMのモジュール戦略,自動車技術,Vol.67,No9(2013)(2)藤本隆宏:いわゆる「自動車のモジュール化」に関する一考察,自動車技術,Vol.68,No.6(2014)(3)目代ほか:新たな車両開発アプローチの模索-VWMQB,日産CMF,マツダCA,トヨタTNGA-,赤門マネジメント・レビュー,12巻,9号TrailingArmPivotRearFrameStructureShareCenterLayout Commonalityin 2WD&4WDExhaustPipe■著者■CX-3 4WD吉村康志豊田稔長尾治典Fig. 16 TBA Layout Commonality between2WD and 4WD6.おわりに本稿ではスモールカーにおける統合化の具体策を紹介した。フロントの例では,タイヤの前出しが,パワートレイン,デザイン,ペダル配置,コンソール幅広化のソリューションとなったと同時に,スモールカーでタイヤ前出しを実現するために,ショートオーバハングなどのブレークスルーが貢献したことを示した。同様にリヤでは,排気系の下通しが理想的な乗り心地とクロスオーバを含めた4WDの理想構造を達成した一方で,排気系の下通しを実現するために各ユニットのブレークスルーが必要であったことを示した。これは,各機能,システムの重点ポイントを実現するために車両アーキテクチャとして前提条件やレイアウト方針を定める一方で,車両アーキテクチャで定めた前提条件やレイアウトは,逆にシステム側のブレークスルーによって実現されるといった高度なすりあわせの実例である。自動車は機能と構造が複雑に絡み合うアーキテクチャであり,かつ人間を乗せて高速で走るうえに,環境,安全等の要請,快適性や楽しさを求める顧客ニーズに応えていく高橋達矢-20-