ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

Total Energy Loss [kW]Energy Loss [kW]No.32(2015)マツダ技報3. 4WDシステムの機能3.1 4WDの機能目標4WD性能と燃費を両立させるために,前後タイヤのタイヤスリップロスと4WDユニットロス(回転により発生するスピンロス,トルクを印加することにより発生する機械効率ロス)の合計である総合エネルギロスに着目した。摩擦係数が低い路面をFFで加速走行している状態(後輪トルク配分比0%)では,前輪がスリップして,前輪のエネルギロスが大きく,かつ,車両挙動が安定しない(Fig. 2のA点)。後輪へのトルク配分を増加させるにつれ,前輪のスリップが減少し,一方で駆動ユニットロスが増加する。後輪トルク配分を更に増加させると,後輪スリップが増大し,ユニットロスも増加する(Fig. 2のC点)。以上の関係において,総合エネルギロスが最小値となる後輪トルク配分が存在し(Fig. 2のB点),ここが燃費の最も優れた後輪トルク配分比である。更に,この後輪トルク配分の状態においてはタイヤのスリップが抑制されているため,車両挙動が安定している。つまり,総合エネルギロスが最小となる後輪トルク配分が,燃費と4WD性能を両立させる後輪トルクの最適配分比である。一方で,後輪トルク配分比と総合ネルギロスの関係を示す曲線は路面状況や走行条件によって異なり,後輪トルクの最適配分比も変化してしまう。以上を考慮し,路面状況や走行条件が変化しても後輪トルクを常に最適配分比に維持することを4WDの機能目標とした。3.2機能目標の達成手段総合エネルギロスの最小点を維持するように,後輪トルクを最適値に制御することで,以下の2点を同時達成し,4WD性能(走破性・操縦安定性)と燃費のブレークスルーを実現した。(1)タイヤグリップ限界内で駆動力を制御することで車両挙動の安定を実現(2)エネルギロスの最小点をトレースすることによる燃費性能の改善4.マツダ4WDシステム4.1 4WDシステム概要新型デミオ・CX-3に搭載したシステムは,CX-5・アクセラに搭載した新世代4WDシステムと同様にトルク制御の自在性からアクティブトルクコントロールカップリングを採用した(Fig. 3)。旧型デミオからトルク容量を増大させるとともに,4WDオフモードへの切り替え機能を廃止することで,運転手の判断によるスイッチ操作をすることなく,刻々と変化する環境変化へリアルタイムに対応するシステムとした(Fig. 4)。多数のセンサ信号をもとに,ドライバの走行意図と走行環境を検知し,最適な後輪トルクを瞬時に演算・指令を行うことで不安定な状況に備える。また,突然の状況変化にも,瞬時に反応して車両を安定させている(Fig. 5)。< Moderate acceleration on snowy road>Tire SlipFront Tire LossRear Tire LossMechanical Efficiency LossUnit Spin Loss0Front Tire Slip(Lack of Rear Torque)Rear Torque Distribution Ratio [%](a) Energy LossSum Total ofEach LossTarget Point100ExcessiveRear TorqueFig. 3 Schematic of 4WD SystemATire grip areaCB (Energy Loss Minimum Point)Front Tire LossMechanical Energy LossRear Tire Loss0 Rear Torque Distribution Ratio [%](b) Energy Loss(Total)100Fig. 2 Minimum Point of Total Energy LossFig. 4 Control Flow of 4WD System-39-