ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)特集:新型デミオ11高強度発泡充填材フレームの開発Development of Frame Reinforced High Strength Structural Foam奥山智仁*1*2田中力*3本田正徳*4松岡秀典Tomohito OkuyamaChikara TanakaMasanori HondaHidenori Matsuoka棗裕貴*5*6椙村勇一*7石亀勝義Hirotaka NatsumeYuichi SugimuraKatsuyoshi Ishigame要約低燃費をもたらす車体の軽量化と高い衝突安全性能の両立には,鋼板製車体フレームの曲げ強度について質量効率の向上が重要であり,曲げ変形時の断面崩壊の抑制が有効であることが知られている。高強度発泡充填材をフレーム内部に全て充填し補強する技術は,曲げ強度を向上させる有効な技術であるが,軽量化と低コストの視点で質量効率の向上が必要であった。本開発では,断面崩壊の抑制に重要なフレーム縦面とその支持部材に着目し,最小限の充填量で曲げ強度を向上できる構造の導出と,商品化における構造制約や製造時に求められる特性を満たす材料開発を行い,新型デミオのBピラーに適用した。SummaryThat the compatibility of high crash safety performance and reducing vehicle weight resulting in lowfuel consumption, improvement of mass efficiency of the bending strength of the steel body frame isimportant, suppression of the cross-section collapse of the deformation is effective bending is known have.Technique of reinforcing filling all within the frame of high strength structural foam, is an effectivetechnique for improving the bending strength, but improved mass efficiency was required in perspectiveof cost and weight. In this development, to derive the structure that focuses on an important framevertical surface to the suppression of the cross-section collapse and the support member, it is possible toimprove the bending strength in the filling amount of the minimum, the properties required at the time ofmanufacture and structural constraints in commercialized it developed as a new material to satisfy, it isapplied to the B-pillar of the new Demio.1.はじめに近年,自動車はCO2排出量の削減や省エネルギー化に対して燃費性能を向上することと,衝突時において人命を保護するために車体フレーム(以下,フレーム)の高い衝突安全性能との両立が求められている。フレームの曲げ強度の向上には高張力鋼板を用いるが,グローバルな供給・仕様を考慮すると板厚の増加や補強用鋼板の追加等が避けられず,コスト増や重量増となる。また,高強度発泡充填材(以下,充填材)をフレーム内部に全て充填する構造は,曲げ強度を向上させる有効な技術ではあるが,軽量化と低コスト化の視点では質量効率が低く,マツダで一部車種(1),他社も高級車への採用に留まっている。そこで,質量効率の向上をねらい,最小限の充填量で曲げ強度を向上できる構造の考え方と具体形状を見出し商品化における構造制約や製造時に求められる特性を満たす材料開発に取り組んだ。2.最小量の充填構造の導出2.1質量効率を上げる着眼点フレームに多く用いられる薄肉中空断面の場合,断面崩壊によってフレームの曲げ強度が理想強度である全塑性モーメントより大幅に低く,鋼板が本来有する材料強度を活用できていない。Fig. 1に示すフレームの断面において,上面幅を狭めることで曲げ強度を向上する方法(2)は知られているが,更なる曲げ強度の向上には縦面の座屈耐力を向上する必要がある。木村ら(3)によると,薄板の曲げ座屈耐力Mと全塑性モーメントMpの関係は,換算幅厚比λ*の値により式(1)または,式(5)のいずれかで表される。*1~3技術研究所*4, 5ボデー開発部Technical Research CenterBody Development Dept.*6, 7衝突性能開発部Crash Safety Development Dept.-60-