ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
- ページ
- 72/306
このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている72ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている72ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2015 No.32
No.32(2015)マツダ技報3.2材料開発成形タイプの充填材における組成改良の考え方をTable2に示す。フレームの板間隙を充填し,衝突性能を満足するため,充填材は高発泡と高強度の両立が求められた。従来の成形タイプは,発泡硬化前のエポキシ樹脂のモノマー分子量が大きく,ポリマー化させたときの架橋密度が低いため,高強度化できなかった。そこで,分子量が異なる複数種のエポキシ樹脂をブレンドし高強度化を実現した。更に,高強度を維持した上での高発泡化は,従来は気泡が肥大化し低強度化するため,複数種の発泡剤の併用により発泡セルを微細化して実現した(Fig. 8)。その強度分布を充填材フレーム構造により,4.1(1)の充填可能な範囲内で適量配置とした。BarrierImpactFig. 9 Concept of High-Strength Area in Side ImpactHingeB-pillarDoorHigh-Strength AreaTable 2 Modification Concept of Material CompositionConceptInitiativesEpoxyResinFoamingAgent6Sandwich Strength (kN)543210Increase of the Mono MaterialCross-linking→Multi MaterialDensityHypertrophy Mono MaterialSuppress of→Multi MaterialBubblesImproved MaterialTargetProperties of theMolding Type of the Conventional1.5 2 2.5Foaming Ratio (times)Fig. 8 Target and Performance of the Improved Material4.商品化開発4.1実部品構造化への応用充填材フレーム構造を車体に適用するために,設計や衝突安全性の観点から以下の課題に取り組んだ。(1)レイアウト要件との両立充填材を発泡させる最低板厚を確保するためには,レインフォースメントとアウタパネルの板間隙が一定以上必要である。その板間隙が確保可能な範囲を明らかにした。(2)衝突要件との両立車両を模擬したバリアが車両側面に衝突すると,ドアのヒンジを介してBピラーに荷重が伝達される。その際,車室内の空間を確保するには,ロアヒンジ部より上部のBピラーが座屈しない強度分布とする必要がある(Fig. 9)。4.2品質確保充填材は,フレームに組み付ける工程,及び塗装工程で発泡硬化させる。そのため,組み付ける工程の生産性確保と発泡硬化後の材料性能の確保が必要となる。更に,海外生産を考慮すると,物流を含む2か月間の保存による特性劣化の防止が必要であった(Table 3)。(1)保管条件充填材を常温で保管できるように,充填材の吸湿性メカニズムを明らかにした。充填材は,発泡硬化の前後において,海外工場を含む温度・湿度計測から温度35℃・湿度58%の高温多湿環境下(以下,高温多湿環境下)での強度低下の抑制が課題となる。充填材を発泡硬化する前に高温多湿環境下で長期間保管した充填材は,発泡セルの肥大化により必要な強度以下となる。発泡セルの肥大化抑制は,エポキシ樹脂の粘度を上げる必要がある。一方で,発泡硬化後の被水環境下に長期間さらされると,鋼板界面の濡れ性が低下し,強度が低下する。濡れ性を上げるためには,エポキシ樹脂の粘度を下げる必要がある。そのため,発泡硬化前後に要求される粘度を両立させるため,複数のエポキシ成分と複数のフィラーを配合した(Fig. 10)。(2)品質保証充填材のマツダ構内への輸送から発泡硬化までの一連の工程において品質保証を実施した。以下に車体組み立て工程と塗装工程の各工程での取り組みを示す。車体組み立て工程について,充填材により充填するレインフォースメントとアウタパネルの板間隙が広すぎると,未充填や密度低下により,フレーム強度の目標品質を確保できない。そのため,試作車やパイロット車の板間隙を測定し,設計において許容できる板間隙のバラつき範囲内であることを確認した。塗装工程について,国内外の塗装工場では,異なる種類の化成処理液,電着液を使用している。充填材がそれらの液に浸漬した際に液を汚染しないこと,充填材が溶解・変質しないことを確認した。また,発泡硬化条件として電着塗装時の乾燥炉の温度が重要である。海外工場も含めた乾燥炉の温度が1年を通してどのような時間変動を示すか計-63-