ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32
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マツダ技報 2015 No.32
マツダ技報No.32(2015)ークレッドの素材を大胆にあしらい,メタリックパネル部分にはアルミを削り出したようなヘアライン調の加飾を採用した。これらにより,ターゲットカスタマーの感性に訴えかける一歩先を行く新しさと造り込みを表現している(Fig. 20)。レッドとしてモノトーンの中にスパイスを利かせ,シンプルなダークスーツをスタイリッシュに着こなすような知的なテイストを醸し出している(Fig. 22)。Fig. 22 x Edge ModeFig. 20 x Future(2)x Performance Mode(クロスパフォーマンスモード)シートのメイン素材はブラックのレザレットとし,センター部にダークグレイの精緻なイメージの新開発ファブリックを用いて,x Futureと同じダークレドのアクセントカラーを効果的に配している。これらにより,一般的なストイックなスポーティな世界とは一味違う,スタイリッシュさとスポーティさの融合した新しいイメージを創り上げている(Fig. 21)。Fig. 21 x Performance Mode(3)x Edge Mode(クロスエッジ―モード)量販グレードにありがちな単調な「黒一色」のコーディネーションを脱却し,グレイを効果的に使った新しいモノトーンコーディネーションの創造に取り組んだ。シートセンター部にはx Performance Modeと同じファブリックを採用,メイン素材をブラック,センター部をダークグレイとして,シルバーアクセントできわを引き締めたクールでスタイリッシュな雰囲気を生み出している。またインパネの加飾パネルにはブラックのステッチ仕上げのソフトパッドをこのグレードにまで展開して質感の高さを表現している。更にこのコーディネーションでは,丸型空調ルーバーのリングを上位グレードと共通の深みのあるメタリック5.おわりにBセグメントのコンパクトクロスオーバーというカテゴリーは,開発当初は市場での圧倒的成功事例のない新しい領域であり,CX-3はそこにブランニューのカーネームとして新しい価値を訴求していくプロダクトとして企画された。新しいターゲットカスタマーの好奇心と日常的ライフスタイルに応えるべく,通常の乗用車でもなく典型的なSUVでもない,またそれぞれの要素を混ぜるのでもない,新しい発想で新しい存在感をこのデザインで示すということを,CX-3における「クロスオーバー」という言葉の解釈とした。発想の転換を求められる難しい課題ではあったが,このターゲットの姿はまさにクリエイターである私たち自身にも重なり,プロジェクトが目標とすることは,つまり自分たちの欲求に答えることでもあった。積極的姿勢で人生を生きることを志向し,常に新しい何かを求めたいという思いは,先鋭的カスタマー特有の価値観ではなく,誰の心の中にもある,ひとつの感情であり,そうありたいという姿でもある。CX-3のデザインは,本質的な美しさと現代的感覚をストレートにまとめ上げることに取り組み,それは多くのカスタマーに直観として伝わるレベルが実現できたと確信している。CX-3のデザインを通して今の時代を生きる多くのカスタマーと私たちの想いを共有できたら幸いである。■著者■松田陽一-84-