ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

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マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)2.新世代商品群の空力開発プロセスⅠ新型デミオ,CX-3の空力開発は,CX-5,アテンザ,アクセラの開発に適用した一括開発プロセスと空気抵抗低減の共通コンセプトを引き継いで行った。そしてCFD技術の本格適用で更に開発力を強化した。次節では,まずCX-5,アテンザ,アクセラの開発プロセスと空気抵抗低減コンセプトについて述べる。2.1一括開発プロセスと空気抵抗低減のコンセプトCX-5,アテンザ,アクセラの開発ではマツダの一括企画開発(1)を適用した。この開発は,下記①~③のとおり車格,セグメントを超えてプラットフォームを共通化し,そこから派生させて商品群を開発するというものである。①商品開発に先駆けて,ベストな性能を発揮するために必要な要素技術を開発する。②開発した技術を車格,セグメントを超えた共通のプラットフォームの基本構造に織り込む。③各車種に共通のプラットフォームの基本構造を織り込んだ上で残りの個別要素を車種ごとに開発する。空力開発では,まず①の要素技術開発の段階で,空気抵抗低減の共通コンセプトを構築した。この共通コンセプトはこれまでの研究から明らかになった空気抵抗の発生要因となる特徴的な渦構造(2)の抑制を要素技術とした。この渦構造は(Ⅰ)アッパ領域,(Ⅱ)床下領域,(Ⅲ)ボデーサイド領域に分けて考えることができ,各部位の渦を最小にすることで,空気抵抗に支配的である(Ⅳ)車体後方の渦を抑制するものである(2)(Fig. 1)。この考え方をもとに車両後方で上下の流れを制御し,一点に収束するような流れを作ることで(Ⅳ)車体後方の渦を抑制できる(3)。これを空気抵抗低減の共通コンセプトとした。そして,②のプラットフォーム開発の段階では床下フロアラインを定義し,このラインに沿った床下基本構造を共通プラットフォームに織り込むことで,空気抵抗低減の共通コンセプトとした流れを実現した(3)(Fig. 2)。そして,③個別車種開発の段階ではこの共通プラットフォームを全車両に織り込み,変動要素についてのみ開発を行うことで開発期間の短期化を実現した。主な変動要素は,アッパ領域の渦構造を変化させるエクステリアデザイン領域,床下とボデーサイドの渦構造を変化させる車高とタイヤサイズ,そして後流の渦構造を変化させる車体後部の形状であった(Fig. 3)。これらの渦構造の変化に対応できるように,形状の最適化や空力付加物の設定を風洞実験主体で行った(4)。その結果,一括開発した全ての車種でクラストップレベルの空気抵抗係数:Cd値を実現することができ,空気抵抗低減のコンセプトと開発プロセスの実効性を確認できた。ⅢFig. 1 Flow Structure around a Vehicle 2)SKYACTIV PlatformFig. 2 Aerodynamic Optimization ConceptTechnical verification vehicle(CD-SDN)by Modifying Underbody Geometry 3)Fig. 3 Aerodynamic Development Factors ofCX-5, Atenza, and Axela2.2空力開発への本格適用のためのCFD技術の強化CX-5,アテンザ,アクセラでの空力開発に並行して,開発力を更に高めるべくCFDの技術の強化も行ってきた。CX-5,アテンザ,アクセラの開発時もCFDを活用してきたが,解析精度や計算時間の課題から補足的な検討ツールとして使用し,風洞実験主体でスペックを決定していた。しかし,この検討方法には以下の課題があった。・圧力や速度等流れ場の計測に時間がかかり,計測できる物理量も限られているため,可視化や現象の理解が困難ⅡDevelopment factors・Design・SUV geometry・Ride height・Tire size・Design・Wagon geometry・Design・Design・Short rear overhang・Hatchback geometry・Design・Short rear overhangⅣCX-5 (C-SUV)Atenza (CD -WGN)Atenza (CD -SDN)Axela(C -Hatchback )Axela(C -SDN)-86-