ブックタイトルマツダ技報 2015 No.32

ページ
99/306

このページは マツダ技報 2015 No.32 の電子ブックに掲載されている99ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

マツダ技報 2015 No.32

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

マツダ技報 2015 No.32

マツダ技報No.32(2015)することで,効率的な開口位置,最小限の大きさ,導風ダクト形状を見出した(Fig. 16)。その結果,ブレーキ冷却性能を満たし,かつ空気抵抗についてもほぼロスのないフロントタイヤデフレクタのブレーキ冷却開口を設定でき,Cd値を3%低減することができた。(a) Flow stream linesDrag forceLow High(b) Drag force distributionFrontOutsideAir guideFig. 13 Flow and Drag Force around Back Windowwithout Rear Side Spoiler(a)Brake cooling hole without optimization (b)Brake cooling hole with optimizationFig. 16 Flow Streamlines thorough Brake CoolingHole of Front Tire DeflectorDrag forceLowHigh(a) Flow stream lines(b) Drag force distributionFig. 14 Flow and Drag Force around Back Windowwith Rear Side Spoiler4.3タイヤ周りでの空気抵抗低減技術タイヤ周り領域では,大きなタイヤ,および軽量化と空力との整合の実例として,フロントタイヤデフレクタでの空気抵抗低減について述べる。大きいタイヤに対するボデーサイドの渦,乱れを抑制するため,より大きなタイヤを設定しているCDカーのフロントタイヤデフレクタの検討結果を活用した。検討の初期段階ではレイアウト,見栄えとの整合取りが必要であったため,CFDでタイヤ周りの流れを見ながら検討を行い,整合取りをした上で,タイヤ上部,ホイール開口から生じる渦を抑制できる形状を見出した(Fig. 15)。(a) Without front tire deflector (b) With front tire deflectorFig. 15 Flow Streamlines around Front Tireまた詳細設計段階ではブレーキの冷却性能との整合取りについて検討を行った。デフレクタの設定は空力性能を向上させる一方で,ブレーキロータに当たる冷却風量を低下させる。特に新型デミオは軽量化のためブレーキロータを小型化しており,放熱量が小さくなるため,冷却風量が不足していた。そこで,両立案としてブレーキ冷却のため,フロントタイヤデフレクタに開口を設けた。ブレーキに必要な冷却性能から経験的に設定した初期の開口形状に対し,CFDで流れ場分析を行い,ブレーキに向かう流れを理解5. CX-3の空力開発本章では,CX-3のユニーク要素に対して織り込んだ空気抵抗低減技術について述べる。5.1 CX-3の空力開発上の課題CX-3は新型デミオに対して以下のユニークの課題があり,これらの整合課題に集約して開発に取り組んだ。・リアフロア領域のレイアウト変更との整合:CX-3はベースとなるBカー用プラットフォームに対し大排気量エンジン対応のため,サイレンサを大型化し,リアフロア部のレイアウトを変更した(Fig. 17)。これらの変更に適した床下と後流の渦最小化技術が必要である。・更なるタイヤ大型化・車高アップとの整合:CX-3は新型デミオに対し,力強いデザイン実現のため,タイヤ径と幅を更に大きくした。加えて,車高が高いスタイリングを採用したので,いずれもタイヤ周りで生じる渦が大きくなる。よって,これを抑制できる技術が必要である。これらの課題に対して,検討した結果を述べる。5.2 CX-3の床下領域での空気抵抗低減技術2.3節で述べた新型デミオとCX-3の渦構造の変化を分析した結果(Fig. 6)から,新型デミオと部品を共通化しつつ個別の空力付加物の設定は必要最小限とした上で流れのコンセプトを実現できる仕様を見出した(Fig. 17)。実例として,リヤバンパに設定したアンダカバーでの空気抵抗低減事例について述べる。CX-3のユニーク部品であるサイレンサ下を通った流れがリヤバンパ内側に巻き込み,車両後部で乱れていることを見出した(Fig. 18(a))。本箇所は空気抵抗低減のための重要ポイントと判断し,カバーの設定を検討した。高温となるサイレンサと樹脂製カバーとの間に要求される必要な隙間からリヤバンパ内へ巻き込む流れが課題であったため,本カバーに耐熱性の高い樹脂を採用し,隙を最小とした。加えて,CFDによる流れ場分析を行い,リヤバンパの内側に巻き込まないようにし-90-