ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33
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マツダ技報 2016 No.33
No.33(2016)マツダ技報Fig. 11 Dependence of the Amount of Fuel Dropletsaround the Spark Plug on the Injection Timingの結果をFig. 11に示す。図より,空燃比がBaseよりも薄い場合には噴射開始時期によらず点火プラグに飛散する燃料液滴はほとんど見られなかった。しかしながら,空燃比がBase以上の濃い条件では,噴射開始時期が上死点に近づくにつれ,燃料飛散量が増加する傾向が見られた。これは,ピストン位置が上死点に近づくに従い,ピストンと点火プラグの距離が短くなり,同時に,インジェクタとピストンの距離も短くなるため,噴霧がピストンで強く跳ね返りやすくなったことと,燃料噴射量の増加に伴い,噴射期間が延びたことによるものと考えられる。開発した評価技術を用いて,点火プラグに飛散する燃料液滴量を所定の閾値以下になるように噴射開始時期と空燃比を調整することで,くすぶりによる失火が防げることを検証した。4.まとめ直噴ガソリンエンジンで点火プラグの耐くすぶり性評価方法を開発した結果,以下の結論を得た。1.透過光減衰を利用した点火プラグ型光学センサーを用いて,点火プラグに飛散する燃料液滴量を検出する方法を確立した。可視化エンジンで検証した所,このセンサーから得られる信号強度は,可視化から得られた燃料液滴量と良い相関を示した。2.点火プラグへの燃料飛散量を定量化することで,冷間時の始動不良と,暖機時の失火回数を予測可能にした。冷間時においては,燃料飛散量が減少するに従い,プリデリバリー試験でエンジンが始動不能に至るまでのサイクル数が延びることを明らかにした。一方,暖機時では,点火プラグへの燃料飛散量が所定の量を超えると失火回数が増加することを明らかにした。3.くすぶり性評価法を用いて,燃料飛散量を所定の閾値以下になるように噴射開始時期,空燃比を制御することで,冷間時の始動不良や暖機時の失火を抑制できた。したがって,開発した評価法を今後のエンジン開発に適用することで,点火プラグくすぶり性能の開発期間を大幅に短縮できる可能性がある。el Economy Product Strategy,FISITA2010 Proceedings,F2010A130,pp.1-13(2010)(4)西尾:くすぶり汚損で機能消失,スパークプラグ,東京,山海堂,pp.65-78(1999)(5)http://webbook.nist.gov/chemistry/ (National Institute of standards and Technology ChemistryWeb Book)(6)W.C. Hinds:光学的性質,エアロゾルテクノロジー,東京,井上書院,pp.303-333(1985)(7)レーザ計測ハンドブック編集委員会:透過光減衰法,レーザ計測ハンドブック,東京,丸善,pp.235-238(1993)(8)H. C. Van de Hulst,Formula for Practical Use,Light Scattering by Small Particles,United States,John Wiley & Sons, Inc.,p.129(1957)(9)藤川ほか:高圧縮比ガソリンエンジンの掃気性改善と触媒早期暖機のための燃焼技術開発,自動車技術会論文集,Vol.43,No.2,pp.351-356 (2012)(10)長津ほか:高圧縮比ガソリンエンジンにおける燃焼のコモンアーキテクチャー技術,自動車技術会学術講演会前刷集,No.30-12,pp.23-26(2012)■著者■内田健児藤川竜也樫山謙二小野裕史山川正尚参考文献(1)人見:内燃機関の将来展望,第21回内燃機関シンポジウム基調講演資料,p.7(2010)(2)山川ほか:高圧縮比ガソリンエンジンの燃焼技術の開発,自動車技術会論文集,Vol.43,No.1,pp.81-87(2012)(3)E. Curtis, et al.:EcoBoost:Downsized Gasoline DI Turbo Engines as the Backbone of Ford’s CO2 and Fu-93-