ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33

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マツダ技報 2016 No.33

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マツダ技報 2016 No.33

No.33(2016)マツダ技報る。また,これらの機械特性を設計する時,お客様のフィーリングを予測できれば,開発初期でのフィーリング検討が可能となり,車造りの効率化に役立つ。精神物理学では,人間は音の大きさや光の明るさといった物理値をそのまま感じておらず,知覚特性というフィルターを介して感じていることが知られている。操作機器を操作する時においても,機械から生じる反力の物理値を人間はそのまま感じていないため,知覚特性を踏まえた機械特性を設計しないと感性評価と一致せず,思い描いたフィーリングが造れない(2)。今回は,アクセルやステアリング,ブレーキの反力知覚特性を解明し,車の「走る・曲がる・止まる」で必要となる操作全てにおける,反力知覚特性から見た望ましい反力設計を考案した。2.人間の知覚特性解明の方法一般に精神物理学における人間の知覚特性の計測手法は,弁別閾を計測する方法と,マグニチュード推定法やマグニチュードプロダクションを用いて計測する方法がある(3)。弁別とは,2つ以上の異なる刺激の間の差異を感知する作用のことで,弁別可能な最少の刺激差異を弁別閾と呼び,弁別閾を計測する手法は,Fig. 1のように横軸の標準刺激の大きさに対し,縦軸にその標準刺激から刺激量を徐々に増やした際に弁別できた値をプロットして知覚特性を得るものである。例えば,標準刺激である10Nから刺激量を1Nずつ増やしていき,3N増やした時に刺激の違いを感じることができたら,その値をプロットする。一方,マグニチュード推定法とは基準となる刺激を100%であると被験者に記憶させ,その基準に対して提示する比較刺激が何%に感じたかを考えさせ,答えてもらう手法である。この時,比較刺激の大きさはランダムに提示する。例えば,標準刺激が2Nとした時,その大きさを100%であると被験者に教えた後,比較刺激を1~5Nまでランダムに提示した時,2Nに対して感じた大きさを検討させてその回答をプロットしていく。マグニチュードプロダクションは,被験者に標準刺激100%を与えた後,被験者自身が装置を操作することで標準刺激の指定された倍率の強さと感じる刺激を自ら操作し求める方法である。これらの手法で計測した結果をFig. 2に示す。横軸に実際に生じた刺激量,縦軸に被験者が標準刺激に対して感じた比較刺激の大きさをプロットし,知覚特性を表現する。以上より,マグニチュード推定法は知覚の全体像解明に適しているのに対し,弁別閾の計測は詳細で微小領域での知覚検証に適している。また,マグニチュードプロダクションは頭で考えるのみでなく,能動的な自身の操作が加わるため,実際の操作環境により近い状態での知覚検証となる。操作対象の形状や使用する反力の大きさは操作対象に応じてさまざまあり,今回は,テストドライバーの知見やDistinction Force [N]Perception Force [N]543210543210Fig. 1 Threshold Measurement010 20 30 40Standard Force [N]1 2 3 4 5True Force [N]Fig. 2 Magnitude Estimation and Magnitude Production既報の論文を踏まえ,注力する調査対象に応じて人間の知覚特性を解明した。なお,全ての実験前には,被験者に実験内容,およびプライバシー遵守を伝え,ヘルシンキ宣言にのっとりインフォームドコンセントを得た上で実験を実施した。3.反力知覚の計測実験Reaction ForceChanged!StandardStimulus3.1アクセル操作における反力の知覚結果と考察「走る」シーンにおいて,ドライバーは追い越しなどで自動車を加速させる時,アクセルペダルを操作しながら速度を調整する。ここで,ドライバーはペダルから生じる反力を感じながら,踏み込む量をペダル操作にて調整しており,人間がペダル反力をどのように感じているかは,リニアな加速フィーリングが得られるペダル特性を検討する上で重要と考えられる。そこで,ペダル操作時の人間の反力知覚特性を調査することとした。これまで,モーターから生じるペダルの反力を被験者に感じさせ,受動的条件で計測した反力知覚特性が報告されている(4)。これはシミュレータ上での結果であり,実車でも同様の結果であるかが分からない。そこで,今回はより実際の走行環境に近づけた状況にて検証を実施した。具体的には,実車を用いて被験者が能動的なペダル操作をした際の反力知覚特性を計測した。実験は,Fig. 3に示すアクセラのアクセルペダルA(オ-107-