ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33
- ページ
- 116/188
このページは マツダ技報 2016 No.33 の電子ブックに掲載されている116ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは マツダ技報 2016 No.33 の電子ブックに掲載されている116ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
マツダ技報 2016 No.33
No.33(2016)マツダ技報被験者のコメントから,ペダルAと比べて操作時に踏み応えがなく,操作した感覚が分かりにくいことが判明した。これは,ペダルから生じる反力の刺激量が小さく,被験者がペダルを操作した際に生じる反力の変化が感じ取れないことが原因と推測される。すなわち,ペダルの操作性を向上させるには,操作時に反力変化が感じ取れるようなストローク操作量に対する反力の勾配を大きくした機器特性を検討する必要があると考えられる。FigShoulder580 [mm]22 [deg.]30 [deg.]Wrist330 [mm]3.2ステアリング操作における反力の知覚結果と考察「曲がる」シーンにおいて,例えば十字路や山道のコーナリングでは,ドライバーはステアリングを操作することで車両の向きを変えている。これまで,ステアリング操作時の反力知覚特性は,マグニチュード推定法を用いた実験から,ウェーバー・フェヒナーの法則に従うことや,操舵角が大きくなるに従い生じるステアリングの接線方向にかかる腕の自重の影響から,反力が軽く感じられることを明らかにしてきた(2)。しかし,反力の小さな不感帯近辺を含めた,詳細な知覚特性は解明しておらず,今回は,ステアリングの反力を1Nずつ増加させた時の人間の弁別閾を計測することにした。実験は,Fig. 7に示すドライビングポジションにて被験者を座らせて実施した。ステアリングの反力については,調整可能な反力発生装置を用いており,被験者にはステアリングを両腕で持たせることで,ステアリングから生じる反力を感じさせる。まず,基準となる反力を感じさせた後に,1N刻みで反力を増加させ,反力の大きさが変わったと感じたタイミングを回答させた。ここで,基準は0~35Nまでの反力を5N刻みで提示した。被験者は,エキスパートドライバー2名と一般ドライバー3名の計5名(30代~50代)の男性である。結果をFig. 8に示す。横軸が基準の反力,縦軸が弁別閾で,5名の平均値をプロットした上で標準偏差をエラーバーで示す。この結果を見ると,5N未満の小さな反力は弁別がしにくく,そこから反力が大きくなるに従い弁別がしやすくなるが,30N以上の反力になると再度弁別がしにくくなることが分かる。ウェーバーの式をもとに得られた弁別閾の値から感覚量を求め,一般的手法を用いて,横軸を実際の反力,縦軸を感じた力の大きさとして,Fig. 9のグラフを作成した。この図から,知覚特性の全体形状はおおむね対数関数的であり,ウェーバー・フェヒナーの法則に従うが,微小な反力ではべき乗則に従う知覚特性となり,その変化は15N付近で生じていることが分かる。この変化が生じるメカニズムを調査するため,実験時の両腕の筋活動を計測した。計測個所はFig. 10に示す,上腕二頭筋,上腕三頭筋,尺側手根屈筋で計6ヶ所である。反力の大きさに応じて筋活動量が変化している部位を調べたところ,右腕(引手)の上腕二頭筋と左腕(送り手)の尺側手根屈筋のみであった。Fig.11Fig. 7 Experimental Conditions (2)Distinction Force [N]5432100 5 10 15 20 25 30 35Standard Reaction Force [N]Fig. 8 Relation between Standard and Distinction ForcesPercepiton Value F p [N]4035302520151050PowerFunctionHipLogarithmFunction0 5 10 15 20 25 30 35 40True Value Ft [N]Fig. 9 Relation between True and Perceived ForceBiceps Muscleof ArmTriceps Muscleof ArmMusculus FlexorCarpi UlnarisFig. 10 Attachment Position of the Myoelectric Sensor-109-