ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33
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マツダ技報 2016 No.33
No.33(2016)マツダ技報やめっき融点が大きく異なる電気亜鉛めっき鋼板(以下EG,目付量:10,20,30g/㎡,めっき融点:約420℃)を用いた。SPCCに比べてめっき材を使用することで剪断強度が向上し,めっきの中でも目付量が少なく,低融点であるEGがGAより高くなる。また,EGの中でも目付量が少ない程,より強度が高くなり,SPCCの2倍近い実用レベルの剪断強度が得られる。Fig. 1 Schematic View of Steel/Aluminum SFW ProcessFig. 2 Effect of the Type of Coating on Steel toSFW Joint Strength1.2鋼板/アルミ抵抗スポット溶接技術の概要抵抗スポット溶接は溶接電極で板組みを挟み,通電することで生じる抵抗発熱を用いた接合手法である。アルミ/鋼板及びアルミ/鋼板/鋼板の板組みでの,発熱状態,接合後の断面写真及び断面の概略図をFig. 3に示す。鋼板とアルミのスポット溶接では,接合界面におけるもろい金属間化合物(Inter Metallic Compound,以下,IMC)の形成を抑制するため,直流インバーター方式の抵抗溶接機を用いてアルミのみが溶融するように通電制御する。3枚組の場合には中板と下板の鋼板間に溶融ナゲットを形成するとともに,上板のアルミが溶融するよう通電条件を設定する。この場合,アルミの表面酸化膜はアルミが溶融することで破壊されるが,アルミに接する鋼板は固相のままであり,その表面酸化膜が接合性を阻害する。そこで,SFWと同様にアルミと接する鋼板にめっき材を用い,その酸化膜の悪影響を回避している。アルミに接する鋼板種を変えた場合の3枚組での剪断強度の比較をFig. 4に示す。なお,3枚組は鋼板間の発熱によりアルミの溶融域が広くなりやすく,総じて2枚組の場合よりも強度が高くなる傾向を示す。鋼板には非めっき鋼板(以下SPCC)の他,自動車用として使用頻度の高い合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下GA,目付量:55g/㎡,めっき融点:約700℃),GAと目付量Fig. 3 Schematic View of Steel/Aluminum ResistanceSpot Welding ProcessFig. 4 Effect of the Type of Coating on Steel toResistance Spot Welding Joint Strength以上のように,鋼板とアルミの異材接合では鋼板の亜鉛めっきが重要な役割を果たすことは明白であるが(2),その作用や接合強度向上のメカニズムについては十分に解明されていない。そこで,抵抗スポット溶接の接合過程におけるめっき成分の挙動や,接合界面に生成するFeとAlのIMCの状態を詳細調査し,その結果を元にめっきが異材接合に及ぼす作用や強度向上のメカニズムを検討した。2.試験方法2.1供試材及び接合試験アルミは6000系合金板(1.2t)とダイカスト板材(以下DC材,2.0t)を用いた。鋼板には厚さ0.8tのGA(目付量:55g/㎡),EG(目付量:10g/㎡),SPCCの3種を供-125-