ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33
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マツダ技報 2016 No.33
マツダ技報No.33(2016)1.はじめに昨今の顧客ニーズの多様化に伴い,商品に搭載されるシステムが複雑化している。そうした複雑なシステムにおいては,どうしてもある一つの性能を高めると他の性能が低下するという背反特性が多くなってくる。更には社会におけるシステムを考えると,単に該当システム内の背反特性だけでなく,環境や安全など,社会のさまざまな要求と該当システムとの間に背反特性が存在している。こうした背反特性の問題を解決して両立させるための技術開発が必要となる。しかも設計自由度が比較的高い技術開発初期段階において,市場品質を確保するための機能性開発も同時に行う必要がある。市場における品質問題はお客様の心を傷つけるだけでなく,企業にとって経営面で大きなマイナスのインパクトとなる。こうした課題をかかえたシステムの技術開発は総合的な一連の開発プロセスに沿って行うことが質の面でも効率の面でも重要である。QFDをコアツールとして目標設定から機能性確保までをカバーした総合的な技術開発プロセスを構築し,その活用に向けて取り組んできたので,その内容を以下に紹介する。2.シックスシグマのプロセス2.1コンセプトマツダでは全社的な業務革新活動として2001年にシックスシグマ(1)を導入した。シックスシグマを一言で表現することは難しいが,主なコンセプトとして,顧客志向,データ・事実重視,プロセス志向,全社最適の4つがあげられる。業務革新の原点はお客様を中心にした考え方である。またシックスシグマ活動の主な特徴としては以下の点があげられる。・トップダウンによるプロジェクトのテーマ設定・プロジェクトの成果を金額で表現・チャンピオン,ブラックベルト,グリーンベルトなどの役割の明確化・DMAIC※注1とDFSS※注2による解決アプローチ※注1:Define-Measure-Analyze-Improve-Control※注2:Design For Six Sigmaシックスシグマではプロジェクトのテーマは基本的にはトップダウンで経営課題からブレークダウンされて設定される。そしてプロジェクトはチャンピオン,ブラックベルト,グリーンベルトといった特別な研修を受講した推進役の下に遂行されていく。チャンピオンとはプロジェクトの推進責任者でテーマの決定,遂行から完了までプロジェクトを監視し,助言・サポートを行う。またプロジェクト遂行に必要な資源の確保や障害の除去を行う。ブラックベルトは問題解決のエキスパートで部門の複数のプロジェクトを担当し活動をリードするとともにグリーンベルトの教育・育成も行う。グリーンベルトは小グループのプロジェクトリーダーとしてメンバーを統率し,課題を解決する。当初マツダに展開されたプロセスはDMAICモデルで,一般的には既存製品や既存プロセスの改善に使われる手法である。研究開発のように既存システムがなく新しいシステムの開発を行う場合にはDFSSがよく使われている。DFSSはDMAICに比べてその内容がやや曖昧であるが,一般には新規商品や新規プロセスを非常に高い目標で実現する手法と考えられている。2.2 DoMAICモデルとDoMAZDAモデル技術研究所では研究効率を高めるため積極的にシックスシグマの活用に取り組んできた。特にシックスシグマは材料の属性や分量,工程などの制御因子を設計パラメータとする材料開発との相性がよく,材料研究部門では方針として全メンバーが基本的にグリーンベルト研修を受講することになっている。技術研究所では技術開発に相応しいようにカスタマイズしたDoMAICモデル(Define-outlook-Measure-Analyze-Improve-Control )及びDoMAZDAモデル(Define-outlook-Measure-Analyze-ZoomZoom-Design-Assure)を構築した。Table 1 Seven Phases of DoMAZDA ModelフェーズPhaseDefine(定義)outlook(スケジュール管理)Measure(測定)Analyze(分析)Zoom-Zoom(創造)Design(設計)Assure(保証)プロセスProcessアウトプットOutputプロセスProcessアウトプットOutputプロセスProcessアウトプットOutputプロセスProcessアウトプットOutputプロセスProcessアウトプットOutputプロセスProcessアウトプットOutputプロセスProcessアウトプットOutput主なプロセスとアウトプットMajor process and output・技術問題/課題の定義Define technical issues・品質特性(メトリクス)&目標設定Set the target of characteristics as metrics技術開発計画書(スケジュールを除く)Technical development plan (excluding schedule)・タイムマネジメント、リスクマネジメントTime management, Risk management・人的資源計画、・コスト(費用)見積もりMan power plan, estimate cost技術開発計画書(スケジュール部分)Technical development plan (schedule)・現行/類似システム見える化および能力確認Define current and similar system, confirm performance・測定システム定義&分析Define and analyze measurement system現行システム能力、測定システム分析結果Current system performance, MSA results・問題定性分析、定量分析Qualitative and quantitative analysis of issue・問題の原理・原則分析Analysis of issue mechanism定量的分析結果、技術課題分析結果Issue quantitative analysis results・解決構想、実現手段、検証方法明確化Idea, method and validation of solution for issue.・目処付け実験、コンセプト定量評価Preliminary experiment, quantitative evaluation of concept技術課題解決策および検証結果Solution for technical issue and verification results・ロバスト設計Robust design・チューニング設計Tuning design最適化システム/プロセスOptimized system/process・不具合未然防止Prevention of issue・機能性評価Functionality evaluationFMEAシート、機能性評価結果FMEA sheet, functionality evaluation result-136-