ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33
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マツダ技報 2016 No.33
マツダ技報No.33(2016)テムのユーザーだけの知覚品質を考慮するが,ユーザー以外に対象システムの影響を受ける他の人の知覚品質や対象システムを取り巻く社会の知覚品質も考慮して社会全体の品質向上も検討する。自動車の場合,「歩行者の安全性が高い」や「駐車スペースが小さい」などが考えられる。(3)知覚品質分析プロセス展開した知覚品質の中から自社で注力する重点品質(企画品質)を決定する。知覚品質は一般的に非常にたくさん抽出されるので今後の作業を効率的に行うためにこの段階で重点化を行う。重点化の尺度としては,実際の顧客からのVOCの多さ,法規制関連,魅力品質の度合い,会社としての戦略,他社ベンチマーク結果などを勘案して重要度をつけていく。(4)品質特性展開プロセスこのプロセスの目的は知覚品質を測るための品質特性を定義することである。前のプロセスで抽出した知覚品質を実現するための機能を洗い出す。この時,機能は一つだけとは限らない。また機能はいわゆるQFDでよく使われる機能表現にするが,更に付加情報として程度を表す言葉(形容動詞や形容詞)を付加する。この付加情報を参考にして機能の達成度を測るメトリクス(品質特性)を定義する。一般に品質表作成において品質特性と要求品質の関係は◎,○,△などを使って関係の強さだけを示す場合が多いが(2),今回,品質特性自体の矛盾の発見や品質特性間の矛盾の発見を効率的に行えるようにするための工夫を行った。更には後のフェーズのZoom-ZoomフェーズやDesignフェーズにおいて,本フェーズで重点化した品質特性に対してTRIZや品質工学を効率的に活用できるようにするためである。具体的には品質特性ごとに知覚品質への影響度を望大特性(大きい方が良い),望小特性(小さい方が良い),望目特性(最適な値が存在する)の3つに分類し,更にその影響度を記入するようにした。事例としてTable2に示すような記号を用いた。知覚品質(要求品質)と品質特性の関係例をTable 3に示す。左の表が従来の品質表で右の表が今回新しく採用した品質表である。従来の品質表では◎や○で関係の強さだけを示していたが,新しい品質表では関係の強さに加えて知覚品質を良くするためには品質特性をどうすれば良いかが分かるようになっている。Table 3の例では室内を広くするためには車幅や車高を大きくすればよいことを示している。Table 2 Marks of Quality Characteristics品質特性の分類Characteristics望大特性Larger-is-better Response望小特性Smaller-is-better Response望目特性Nominal-is-best Response知覚特性への影響大Large Effect▲▼●知覚特性への影響小Small Effect△▽○Table 3 Example of Quality Table車幅品質特性Quality characteristicsWidth車高Height空気抵抗Aerodynami知覚品質Perceptible quality室内が広いLarge cabin◎◎室内が静かであるQuiet cabin◎燃費が良いGood fuel mileage◎歩行者の安全が高いPedestrian safety駐車スペースが小さいEasy parking◎○従来の品質表Conventional Quality Tableエンジン音Engine noise◎○(5)品質特性分析プロセスこのプロセスの目的は重要な知覚品質を実現する上で達成すべき品質特性の目標を設定することである。品質特性の目標設定においては他社の類似製品の品質特性調査結果と自社の現状能力などを比較して戦略的に目標を設定する。この時,目標と現状の間に大きなギャップがあり,通常の技術の改善で達成できない場合は技術のブレークスルーが必要となるのでそれを技術課題として設定する。Table 3の例において品質特性の「空気抵抗」はこれに関係する知覚品質の「室内が静かである」や「燃費が良い」を改善するためにはともに望小特性なので問題がなく,基本的には「空気抵抗」は望小特性で設計すればよい。一方,品質特性の「車幅」は,知覚品質の「室内が広い」を改善するためには大きい方が良いが,知覚品質の「駐車スペースが小さい」を改善するためには「車幅」は小さい方が良いので品質特性自体に矛盾が生じている。つまり「車幅」は大きい方が良いし,小さい方が良いということで,これはTRIZでいうところの物理的矛盾に相当する。物理的矛盾は真の矛盾なのでそのままでは解決できず,時間や空間,あるいは条件で分離して解決する。この例の場合,駐車するときは車幅を小さくし,人が乗っている時(運転する時)は車幅を大きくすれば良い。どうやって実現するかが技術課題となる。Table 3で赤くハッチングされた品質特性はそれ自体で矛盾をもっていることを示している。今までの品質表では異なる品質特性間の矛盾を見つけることを行っていたがそれらはTRIZでいうところの技術的矛盾であり,今回の工夫により品質特性自体の物理的矛盾を見つけることができるようになった。これが大きな利点である。製品システムだけでなく社会システムも考慮した社会品質を考えるとこうした物理的矛盾は更に増えてくる。こうした物理的矛盾を解決することが社会品質を実現する上で非常に重要であり,企業に求められていることである。実際に前述の矛盾を見つける作業を開発者が一つ一つ行うことは効率が悪く,また見落とす恐れもある。市販されている表計算ソフトを使って品質表を作れば,そうした車幅品質特性Quality characteristicsWidth車高Height空気抵抗Aerodynami知覚品質Perceptible quality室内が広いLarge cabin▲▲室内が静かであるQuiet cabin▼燃費が良いGood fuel mileage▼歩行者の安全が高いPedestrian safety駐車スペースが小さいEasy parking▼▽新しい品質表Proposed Quality Tableエンジン音Engine noise▼△-138-