ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33

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マツダ技報 2016 No.33

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概要

マツダ技報 2016 No.33

No.33(2016)マツダ技報①レーザー刻印工程②圧入・かしめ工程③イナータンス検査工程④周波数調整工程⑤イナータンス検査工程(④を行った場合のみ)⑥ピストンピン外径研削工程⑦洗浄⑧外観検査レーザー刻印はピストンピン端面に製造連番を刻印するもので,どの車両にどのピストンピンが使われているかを記録するトレーサビリティシステムだけでなく,周波数調整工程で一品一葉の調整を行うためにも使用している。ピストンピン外径研削は,ピストンピンとして必要な精度を満足させるため,NSS組み付け後に行い,その後に洗浄と外観検査を行っている。これらの工程を実現させるため,品質確保に重要かつ新たな3つの工法開発が必要であった。①かしめ量産条件の確立②イナータンス計測開発③周波数調整加工システム開発以下に,これらの工程開発の概要を紹介する。4.かしめ量産条件の確立NSSは各部品をピストンピンに圧入組み付けした後に,Fig. 7のようにウエイトにかしめを行っている。かしめは,刃具をウエイト端面に押し当てることで2箇所を塑性変形させ,ダンパーの溝に引っかける形を作っている。ProtrusionCrimping toolウエイトで検証を行い,硬度の上下限品のいずれも倒れ量を満足しつつ座屈あるいはせん断しない範囲内でかしめを行えることを確認し,製品設計に反映した。Fig. 8 Criteria for Crimpingしかし,かしめはFig. 7右図のような断面形状であり,この倒れ量を直接測定することはできないため,Fig. 9のように倒れ量とかしめ深さに相関があることを確認した上で,量産ではかしめ深さを全数管理している。Depth mmCrimping Load/Edge N0.60.40.2Hardness MaxRequired QualityDamage Limit0 0.2 0.40Protrusion mmDesignToleranceHardness MinProper Condition0 0.2 0.4Protrusion mmAlternativeToleranceFig. 9 Correlation between Protrusion and DepthWeightDepthFig. 7 Inspection Point of Crimping Resultウエイトの抜き荷重は機能上必要な一定以上の力が求められ,圧入とかしめでこれを満足する。圧入によりその大半を保証するため,かしめは溝に引っかかる最低限の寸法として,その倒れ量が0.14mm以上を満足すればよい。一方,この倒れを得るために加える荷重によってNSSの部品が座屈しないようにする,あるいは塑性変形した部分がせん断して脱落しないようにする必要がある。そこでFig. 8のように,倒れ量とかしめ荷重について,机上計算より機能上必要な条件と,座屈やせん断しない条件を求めた。その上で,材料硬さがかしめに及ぼす影響を,実際の5.イナータンス計測開発5.1検査装置の要件と事前検証NSSの開発初期段階では,NSSを組み込んだピストンピンをゴムで吊り下げ,インパルスハンマーで打撃し,その自由振動をピストンピン外径に貼り付けた加速度ピックアップ検出することでイナータンスを測定して,NSSの作動周波数を求めていた。この方法は,①ピストンピンのゴムへの取り付けの不確実性や,②加速度ピックアップを固定する方法の困難さ,③作業者によるインパクト加振の不確実性,④それらに伴う計測時間の問題があり,量産ラインでの測定には不向きである。そこで,①~④の問題点を解決するための要件として,以下の3つを挙げて新たに測定方法を開発した。①ピストンピン外周をクランプして測定する②振動計測は非接触で行う-143-