ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33

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マツダ技報 2016 No.33

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マツダ技報 2016 No.33

No.33(2016)マツダ技報10)。Active Air ShutterRed Color : Seal Parts(a) Before Front Tire OptimizationFig. 9 Seal Plate and Active Air Shutter(b) Optimized Front TireFig. 8 Body Side Flow around Front Tire5.エンジンルームの空力開発5.1エンジンルームの開発コンセプトと課題エンジンルームに入る風流れは,フロントグリルから必要最小限の風を取り込みまっすぐインタークーラー・ラジエターに流し,他のエリアへ漏れる風流れを最小限にした。新型CX-9の開発初期においてはグリル~ラジエタ間の損失が増大し,必要以上の風を取り込んでいたため,ラジエタまでの導風ダクト構造を見直し、不要なエリアへの漏れを抑制することが課題であった。5.2エンジンルームの空気抵抗低減技術新型CX-9でもCX-5以降の新世代商品群と同様の考え方により,導風ダクト構造を設計者との共創により他性能やレイアウト,組み付け性は満足しながら,バンパー内のセットプレートとインタークーラーダクト構造を最適化した(Fig. 9)。その結果,開発初期段階と比較し冷却に不要な漏れ量を約20%低減することができた。一方で,更なるグリル~ラジエター間の損失低減のため,アクセラなどに採用しているアクティブエアシャッターの採用を検討した。しかし,アクセラにレイアウトされている位置にはインタークーラーがレイアウトされているためそのままでは設定が困難であった。そこで新型CX-9ではアッパーグリル後方へレイアウトすることを検討した。このエリアはホーンやミリ波レーダーの性能を確保した上でこれらをレイアウトしつつ,衝突性能も満足する必要があった。そのため,アクチュエーターやシャッター外枠形状を最適化し,空力性能と他性能を損なわずにレイアウトを成立させた。これらの結果,マツダ車では初となるアッパーグリル後方へのアクティブエアシャッター搭載を実現し(Fig. 9),旧型CX-9の構造からCd値を約3%低減することができた(Fig.(a) Before Front Grill (b) Optimized Front GrillOptimizationFig. 10 Flow Streamlines Around Front Grill6.アッパー領域の空力開発6.1アッパー領域の開発コンセプトと課題アッパー領域の開発コンセプトは,2.1節を踏まえて上下左右の流れを巻き込ませず,後方で1点収束する流れを実現することとした。新型CX-9の初期デザイン案はスタンスの良さを表現するため,安定感のある台形フォルム(タイヤからランプ,キャビンにかけて幅が絞られている形状)になっている。このフォルムを実現するためキャビンが丸みを帯びていることに加え,バックウインドウの角度が先代モデルより倒れていることで車両後方での風の巻き込みが強くなり空力性能の悪化につながっていた。この風の巻き込みを,デザイン表現を損なうことなく実施していくことが重要な課題であった(Fig. 11-(a))。6.2アッパー領域の空気抵抗低減技術新型CX-9では,車両の各部位についてデザイナーと共創した。具体的に風流れを向上した部位をFig. 12に示す。ここでは,特に車体上部から風流れが吹きおろすことにより発生する渦の抑制に注力し,リアスポイラとリアサイドスポイラで後流渦の低減を実現した事例について報告する。リアスポイラを設計者,デザイナーと構造,性能,デザインが成立する形状を見出し,上部からの吹き降ろしを抑制した。リアサイドスポイラについても同様に車両後方で流れを1点収束させるべく剥離位置,流れの収束角度を最適化し空力性能とデザイン性を高次元でバランスさせることができた。車両後方は上下左右の流れのバランス取りが重-53-