ブックタイトルマツダ技報 2016 No.33

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マツダ技報 2016 No.33

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概要

マツダ技報 2016 No.33

マツダ技報No.33(2016)摺り合わせの過程では,互いの特徴や良さの相互理解が促進されることで,新たな価値の糸口が見つかり,それが共創の場で紡がれ技術として格上げされていく。まるで縦糸と横糸が,一目の狂いなく繊細かつ大胆に織り込まれた反物のように,全ての織り目で互いを活かしあう重なりが考えられた,つくり手の意思が綿密に紡がれたものになっていく営み,それこそが我々が追求すべきモノ造りの姿なのだと信じている。さて,それをマツダに重ねてみる。2012年,ベース技術の刷新を段階的に進めるという宣言を実行に移した。技術は勿論,同時に開発革新によって,革新的な技術をアフォーダブルに,そして全ての商品に次々に導入していくと宣言もした。これがビルディングブロック戦略の実行策,SKYACTIVテクノロジーの導入宣言であった。2010年の公表当時は,本当にこんな展開が可能なのか,全員が確信を持ってはいなかったかもしれないが,実行を進める中,それは自負と自信に変貌してきた。そして実際に,この3年間で,CX-5を皮切りに,アテンザ,アクセラ,デミオ,CX-3,ロードスターと,6車種をグローバルに導入し,そしてこのたびのCX-9で7つ目の車種導入を果たした。モデルチェンジなどのタイミングにとらわれず大幅商品改良によって,常に最新の技術進化が車種群に展開されている状況もお届けできている。これは,生産,調達,開発,各々がしっかりと目指す価値を腹に落とし,これまでにない価値創造型の摺り合わせを実現した結果だと考えている。このような,全てのシステムの同時刷新を,商品競合力の飛躍的向上と,開発効率の革新とともに実現したことは,日本の摺り合わせ開発の正常進化であると考えたい。これを進める上で中心に置いた,モノ造り革新,コモンアーキテクチャの実行は,全ての商品に共通特性を与えるという当初の狙いを良い意味で超え,常に直近の商品がマツダ渾身の思想と技術をお届けする状態ができ上がった。また,開発,生産,調達が,各持ち場で共通の価値を持ち,その実現に部門一気通貫で取り組むスタイルは,良い意味で風土や文化と呼べるレベルになりつつある。各持ち場で作り上げる共通特性,それを適用しクルマとして作りこむうち,持ち場の周辺との相互理解とより深い気付きを得,共創のアイディアが生まれ,その実行の場が次の車種で与えられる。こうして次々と直近の車種で気付きを実行する中で,各車種はどんどん自律的に進化が加速していく。互いの摺り合わせによる相互貢献,その過程で生まれたアイディアを次のモデルで実装する。クルマの最終仕上げに腐心する中で,自然にそのスパイラルが加速していく。それが各商品投入の短いサイクルで進み続けることから,絶え間ない技術進化が着々と進み,しかもそれが人とクルマを俯瞰した,人間中心という一貫した哲学に沿って,組織を超えた共創によって実行される,目の離せない存在であると認められつつあるように感じる。クルマの最終仕上げに余念なく,心血を注いで対応できることが,こういった進化を可能にすると実感する。自分たち自身が日々高め行くハードルと,それを超えるコミットメントによる技術の進化,それがマツダとつながり,マツダを支持する意味と価値となり,この継続がお客様との絆を深めていく,私たちならではの,独自の約束になると本気で思えてきた。ブランドとは,この独自の約束を守り続け,確固たる信頼に替えることなのだろう。こういったコツコツとした進化を地道にかつ広範に続け,次なるジャンプをも同時に果たし,やはりマツダは本物だったと約束を果たす。高いハードルだが,世間のマツダを見る見方が少しずつ変わり,自分たちでお客様の期待を超えるべくハードルを上げることを許されたと考えたい。こうした営みの継続で人と技術を紡ぎ,日本のクルマ文化ここにあり,と世界が認めるその日をめざし,愚直に歩み続けたい。今回発表した新型CX-9には,この思考をしっかりと詰めたつもりである。しかしこれも世に出した瞬間から,次の頂きを目指した進化が始まっている。この作品によって研がれたお客様の感性とともに,離れ難い強固な絆を確かにし,固有の世界観を作り上げるために。培ってきた気質を紡ぎ,日本の,そしてマツダならではのクルマ文化を確立すべく尽力を続けたい。遠い昔になるが,小職が当時の東洋工業(株),現在のマツダ(株)に採用が決まったのち送られてきた技報がこの創刊号であった。高度で広範な内容に,果たしてこの自分がここに加わった時,技術者として仕事が果たせるのか,大いに不安になり,また,決意を新たにしたことを昨日のことのように思い起こしている。本技報が,今現在も技術を志す方々に,そういった畏怖と野心を掻き立て,ともに日本のモノ造りのプレゼンスを高める機運向上に役立てばと願って止まない。-2-