マツダ技報 2017 No.34
100/207

*1~4 車両技術部 -93- Fig. 1 Reflection of Smoothness Surface Realization of Continuity Surface to Achieve “KODO” Design No.34(2017) マツダ技報 マツダは,“人間中心のものづくり”を一貫した哲学として掲げ,クルマを見ただけで動きを感じ,乗ってみたくなるデザインを追究している。それらを「魂動」デザインと称し,生命のフォルムの美しさや動きの加速感を造形に取り入れ,車両外装部品においてはその「魂動」デザインの思想を忠実に再現する取り組みを行っている。マツダでは,デザイン造形のもつ生命感や加速感をお客様への提供価値と定義し,それらを実現するための車両構造設計や生産工程設計を行う「面のアーティスト」活動に取り組んできた。車両外装の隣り合う部品が,あたかも一枚面であるかのような連続感が重要であると考え,法線ベクトルという物理特性に着目した。本稿では法線ベクトルに基づくプロセス構築と,バンパー量産準備を一例に挙げ,面の連続感実現を目指した活動事例を報告する。 Summary マツダでは構造改革ステージ2を進めており,生産技術領域の取り組みの3本柱である【魂動デザイン】【燃費】【人馬一体】の更なる進化によって,お客様に生涯顧客となっていただけることを目指している。その実現に向けて,「魂動」デザインではクルマを単なる移動手段ではなく,所有すること自体に歓びを感じていただけるアート作品のような存在となることを目指している。「魂動」デザインのねらいは,生物の持つ生命感,動きの加速感をクルマの外観で表現することであり,金属から削り出したかのような塊感がクルマ全体で必要である。塊感を量産車で実現するには,隣り合う部品が一枚面であるかのような面の連続感が重要と考え(Fig. 1),お客様への提供価値としてクルマづくりを行った。本稿では,面の連続感を物理指標に落とし込み,量産工程で実現させるプロセスを構築し実践した内容を報告する。 要 約 田中 慶和*1 Yoshikazu Tanaka新宅 則和*4 NorikazuShintaku永野 恵行*2 YasuyukiNagano 太田 凛*3 Rin Ota 「魂動」デザインを際立たせる“面の連続感”実現の取り組み Under its “human-centered monotsukuri” philosophy, Mazda pursues a vehicle design that makes all who see it feel the dynamics at first glance and invites them to drive. This is what we call the “KODO Design” concept. Exterior parts are designed to express vitality, beauty and power of motion, with the aim of giving shape to Mazda’s KODO Design language. Defining the vitality and a sense of speed presented by a design as values to offer customers, we designed a vehicle structure and developed a production process to translate them into a product. This process of works was conducted via a project named “Artist for reflection of surfaces”. Attaching importance to continuity in surfaces of adjacent exterior parts, we focused on a normal vector as the key physical property. This article describes the efforts made to realize the continuity in surfaces, taking process establishment based on the normal vector and preparation for bumper mass production as examples. Painting, Trim & Final Assembly Engineering Dept. 特集:生産技術領域の進化 17 1. はじめに

元のページ  ../index.html#100

このブックを見る