マツダ技報 2017 No.34
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3.1 バンパーにおける面の連続感実現への課題 バンパーは,射出成形工法によって生産され,金型内 ↑Virtual ↓Real ↑Virtual -96- 6 マツダ技報 法線ベクトルの基準と評価手法を用いて,従来のクルマづくりに加えて面の連続感を実現させるプロセスを新型CX-5で構築した。ここでは,「魂動」デザイン実現においてフロントビューやリアビューを大きく占め,樹脂部品の中でも最大で技術的にも造形実現に大きく寄与するバンパーの実例を挙げ,以下にその取り組みを紹介する。 に溶融した樹脂を充填し,金型形状を転写することでねらいのデザイン造形を得ている。工法の特徴として,複雑なデザイン造形に対しても自由度が高い一方で,樹脂は熱変形や剛性による荷重変形を生じやすい。マツダではこれまでCAEと金型製作技術を融合させることで,板厚を極限まで薄肉化しつつデザイン性と製品機能性を成立させてきた。一方で,「魂動」デザインではより高い精度でボディーパネルとの面の連続感を実現する必要があり,上記に加えて面精度の向上を重点課題として取り組んだ。 ザイン意図を理解して構造と工程をコンカレントに開発する。更にCAE技術を活用し,バンパー生産工程や重力による変形やバラつきに対して,法線ベクトルのズレが基準値以下になるまで机上で車両構造と生産工程を作り込む。これにより実部品ができた後の金型修正回数をゼロにしつつ面の連続感を実現させる。 車両構造設計においては,荷重を受ける骨格部位とデザイン造形を再現する意匠部位との機能分離を進め,構造によるロバスト性を向上させた。 生産工程設計においては,バンパー成形から完成車組み付け状態に至る全工程をCAE上で再現させる連成解析手法を構築した。これにより,面の連続感を実現するための金型や塗装治具などの工程設計を,車両構造設計の初期段階から机上で実施することが可能となった。 StructureDesignProduction of Mold & ToolSurface Scan →STL-Model**Production Analysis for Bumper UnitResin Flow Analysis (→Mold Design)Paint & Heat Process AnalysisTransport AnalysisParts Assembly Analysis3.2 机上評価における面の連続感実現 Fig. 9に従来の隙・段差を軸とした品質作り込みプロセスを,Fig. 10に新たに構築した面の連続感実現プロセスを示す。特徴として,車両構造設計の初期段階よりデNo.34(2017)Fig. 9 Previous Process Fig. 10 New Process CADDataStructureDesignProduction DesignFEM-ModelAnalysis*Inspection↓RealProduction of Mold & ToolPartsMesure Hand→Point Data SheetInspection*Mass ProductionChange Shape&Process*Inspection techniqueGap/StepCorrectionBody AssemblyDesign er's IntentionProduction DesignFEM-ModelStep1:Change Production Analysis**Shape&ProcessInspection***Body AssemblyPartsInspection***Mass ProductionStep3: Inverse ModelStep2:Deformation AnalysisCorrection***Inspection technique-Normal Vectror Angle-Surface Gap-Zebra / Real Shading& Gap/Step3. 法線ベクトルに基づく車両構造/工程設計

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