マツダ技報 2017 No.34
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*3 商品企画部 *1,2 商品本部 -105- 論文・解説 19 No.34(2017) マツダ技報 2.1 ターゲットカスタマー CX-4の開発に際してマツダが注目したのは,中国の先要 約 CX-4は,マツダが初めて世界に先がけて中国で発表する新しいカーラインナップである。同時に,現代中国を深く思考することで既成概念を越え,世界の自動車市場に新たなSUVセグメントを創造しようというマツダの挑戦を体現するクルマでもある。マツダがこのような挑戦に思い至った原動力は,何より,長い歴史を有しながらも大胆に変化していこうとする中国の人々の力強い姿にあった。 岡野 直樹*1 Naoki OkanoCX-4成功の鍵であると考え,中国現地のスタッフと一緒に中国でたくさんのお客様に出会い,その思いを企画に織り込む活動を行った。また,新世代技術「SKYACTIV TECHNOLOY」と「魂動(こどう)デザイン」を中国の環境に更に合致するよう磨き上げるため,現地の運転環境や道路環境を私たち自身で体感し理解を深めた。 このように企画,開発,そしてマツダや中国の関連企業の様々な部門のメンバーの挑戦が,CX-4の新しい価値を生んだ過程を紹介する。 住田 和哉*2 KazuyaSumida 三宮 正義*3 MasayoshiSannomiyaマツダは,このような中国の先進的価値観を持つ若者達に向けて,CX-4のコンセプトを創りあげ,開発を進めていった。本稿では,CX-4のターゲットカスタマー設定とコンセプト創造から,企画,開発,生産までの全体活動を紹介する。 Summary 言うまでもなく,中国市場は世界で一番競合がひしめき,お客様の選択肢はどの市場よりも広い。その中で存在感を出しながら競合を凌駕するためには中国のお客様を徹底的に分析し,ターゲットカスタマーにフォーカスした「新価値の創出」への挑戦が必要であった。しかし,スモールプレイヤーであるマツダが,一から中国専用車を作ることは,大規模な投資がかかるため非常に困難であった。 そこで,マツダは新世代商品群の技術やコンポーネントを最大限使いながら,比較的小規模できるトップハット領域のデザインやパッケージで,魅力品質を造り込むことに注力した。 私たちは「One Mazda」でこの困難に挑戦することが1. はじめに 2. ターゲットカスタマーと開発コンセプト Product Planning Dept. CX-4 is an all-new model that Mazda releases in the Chinese market first in the world. This vehicle embodies our challenges of creating a new SUV segment in the global automobile market, exceeding the stereotype SUV category based on our close examinations of the contemporary Chinese market. The energy and dynamism of Chinese people who have a long history and now trying to adventurously change their lifestyle motivated our challenges. For those young Chinese people with advanced values, we created the concept of the CX-4 and developed it following the concept. This report briefly describes the overall activities from target customer setup, concept creation, product planning and development to production. Product Div. Introduction of CX-4 CX-4の紹介

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