マツダ技報 2017 No.34
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*1 デザイン本部 Design Div. -109- 論文・解説 20 No.34(2017) 1 マツダ技報 ォルム,しなやかで動きのある面,ソリッドで精緻なディテールに焦点を絞り,見る人に感動を与えるレベルに磨き上げた。インテリアは,顧客の生活に活力を与えることをテーマに,先進性と豊かさの表現を行った。快適に運転する楽しさを味わえるドライバーオリエンテッドなコックピットとインターフェイス,リラックスできる雰囲気の室内空間,洗練された質感表現によってCX-4の独自の世界観を創造した。カラー&マテリアルは“赤を極める”をテーマに,赤の色域が持つ鮮やかさと深みによって活力と癒しを表現した。これらの独自視点からの創造的なアプローチにより,未来志向の若者を魅了するデザインが仕上がった。 Summary 全くの新規車種として企画された。初代Mazda6 は中国において導入当初,当時の先進層,富裕層を虜にし,導入以来10数年を経たモデル末期でも多くの生産台数を維持していた。新規車種としてその成功を再現するためのミッション遂行には以下の4つの視点を持つことが求められた。1.マツダのブランド価値向上,2.マツダブランド要 約 CX-4のデザインにおける挑戦は,比類のない独自の存在感を創造することであった。そして挑戦の末,ヒエラルキーやカテゴリーといった既存の枠組みを越えた新たな価値を創造し,新世代の魂動デザインラインナップの集大成に相応しい美しいデザインに帰結した。 “究極のトラクションフォルム” をエクステリアのデザインテーマとし,突出したスポーティーで品格のあるプロポーション,安定感とスピード感のあるフへのエントリー顧客の確保,3.最量販車種としてのビジネスと生産規模の確保,4.中国における中短期の収益性の確保である。その実現のための存在価値,つまりコンセプトが企画当初の最大の懸案であった。マツダは中国市場において将来獲得したい顧客層の価値観,競合環境,初代Mazda6の成功要因分析等の調査や緻密な検討を重ね,α案(クロスオーバーSUV)・β案(スポーティーセダン)の2つのコンセプトにたどり着いた。市場の主流がセダンであった当時,β案を選択するほうが安全にもOur challenge at the design of CX-4 is to create a completed unique presence. We created a new value which exceeds an accomplished framework as hierarchy and category, we realized beautiful design which can be fit a comprehensive compilation of the New Gen.’s “KODO” design line up. We set “Ultimate traction form” as the exterior design theme, and brush up the design factors to the level which impress those who to see as follows, the extreme sporty and elegant proportion, stable and speedy simple form, alluring and dynamic surface, solid and precise detail. Aiming to vitalize customer’s life as interior design theme, we express the advance and rich feeling. We created CX-4’s unique outlook of the world by below, driver oriented cockpit and interface which can deliver comfortable and fun to drive feel to the driver, interior space with relax atmosphere, sophisticated quality, “Ultimate red sensation” is the design theme for color and material. Based on this theme, we expressed vitality and relax by vividness and deepness of the color range of red. By this creative approach from unique view points, we could establish the design which charm young future oriented people. CX-4は初代Mazda6の中国における成功を再現すべく,小泉 巖*1 Iwao Koizumi1. はじめに CX-4のデザイン Design for CX-4

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