マツダ技報 2017 No.34
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3. エクステリアデザイン 3.2 エクストリーム・プロポーション 最も多くの強豪がひしめくこのサイズの中でMazda6がなぜ成功出来たのか。私たちは初代Mazda6の成功要因を多方面から分析し,際立つ存在感をもつに至った理由を検証した。そしてMazda6だけがもつプロポーションを特定するに至った。通常の機能的なアプローチを離 -111- No.34(2017) 3.1 デザインテーマ CX-4エクステリアデザインのデザインテーマは,“究極のトラクションフォルム”である。漲る力を4つのタイヤに伝え,その力が車を加速させてゆく様をパワーの伝マツダ技報 わる力感と加速するスピード感によって表現することを示唆している。そして以下に紹介する4つの視点からこのテーマの具現化に取り組んだ。“エクストリーム・プロポーション”“ストロング&シンプルフォルム”“ダイナミックサーフェイスストラクチャー”“ソリッド&プリサイスディテール”である。 れ,本能的な魅力につながるプロポーション上の特徴を探す中で見つけたのはキャビンとタイヤサイズの比が当時の競合車の群を抜いていたということであった。更に時代を追うごとにこの傾向は顕著になり,トレンドといえるものだった。このトレンドを睨み,経年変化のスピードを考慮して,CX-4が導入される時点においても十分なアドバンテージがある比率を与えた。マツダの新世代商品群がコモンアーキテクチャー構想によって一貫した設計思想を持っていることもその実現に一役買った。つまり,Mazda3とCX-5とMazda6で実績のある設計をうまく編集することで,新世代商品群の中で最もスポーティーで品格の高い,先進的な骨格を創り上げることができた。 の強さによって強い存在感を与えるのがフォルムである。CX-4のデザインにおける立体的な秩序と塊の強さはゆるぎない自信に満ちた安定感と,前に突き進む前進感をもたらす。4つのタイヤの近傍のテンション(面の張り/緊張感)は車両中心からタイヤに向けてのパワーの伝達を表現し,CX-4のボディーに適度な抑揚と流麗なボリュームの動きを持たせている。ボディーサイドの視覚的重心を物語るボーンの動きは,直線的ながらもしなやかな抑揚を持ち芯の通った充実した塊感を表出しつつ,前方へ向かう力強い加速感を表現している。Aピラーをブラックアウトしたキャビン前半部は空気抵抗の少ないカプセル状の塊を形成,後半部分はティアドロップ型に絞り込まれ,クーペの流麗さとエレガンスを表現しリアフェンダーの抑揚を強調し力感を与えている。 3.3 ストロング&シンプルフォルム 立体の秩序によってテーマのメッセージ性を伝え,塊Fig. 5 Evolution of SUV Category Fig. 6 Completion of New Mazda Generation Line Up Fig.7 Ultimate Traction Form Fig. 8 Extreme Proportion Fig. 9 Strong & Simple Form

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