マツダ技報 2017 No.34
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-112- マツダ技報 のない箱型が世の多くの車の骨格の基礎となっている。デザインの名のもとにさまざまな造形表現をするものの,それらの表現が表面的な面の抑揚にとどまり,四角い箱の骨格の上にレリーフ状の抑揚が与えられていることが多い。しかし,人が心豊かに生きてゆくためには,効率の追求だけではなく,自由で生き生きとした感情が必要である。命あるものだけが持つ“生きる”という目的意識と,その意志が生きた表情を生み出す。魂動デザインのスローガン“車に命を吹き込む”というメッセージは,命あるものだけが持つ生き生きとした表情を与えることである。CX-4の艶やかで,色気さえ感じる表情は箱の概念を超越したダイナミックで自由な面の動きによって構成されている。更に,コーナー部分は,安定感と軽快な動きを同時に表現するため前後からは安定して見え,サイドからは軽快に見える,独自の新しい面構成とし,CX-4に独自の存在感と生命感を与えている。 で精緻な金属パーツと,それに準じた金属の輝きを表現したディテールである。ホイールはアルミの切削とガンメタリックをコンビネーションしたスポーティーで洗練されていながらSUVとしての力強さを感じさせる,まさ3.4 ダイナミックサーフェイスストラクチャー 空間効率を最大化しやすく造形要素の少ない所謂無駄3.5 ソリッド&プリサイスディテール CX-4が品格のある本物のマシンであることを象徴的に表現しているのが無垢の金属素材を削りだしたソリッドにクロスオーバーなデザインとした。そしてマツダとしては初となる密着型ルーフレールも本物のアルミニウム素材を露出させる金属の質感表現を行った。フロントグリルもホイール同様,ガンメタリックのペイント部は輝度の高いアルミニウムの地金の質感を表現している。また,フロントグリルからヘッドランプに伸びるマツダ車を象徴するシグネチャーウィングはソリッドで強く,3次元的な奥行き表現やヘッドライトの発光パターンと連動することによって独自性を高めるよう進化させた。これらのディテールの精緻な仕上げは加工精度や性能の良さといったマツダのクラフトマンシップの質の高さをものがたり,CX-4のマシンとしての美しさを際立たせている。 ンテリア”,顧客の生活に活力を与え,豊かな生活体験を提供することをねらい,先進性と豊かさを表現した。 テーマの実現のために焦点を当てたのは,“スマートインターフェイス”と“リラックスアトモスフェア”,“ソフィスティケイテッドクオリティ”の3つの視点である。 4.1 デザインテーマ インテリアのデザインテーマは“バイタライジングイNo.34(2017)Fig. 10 Dynamic Surface Structure Fig. 11 Stability & Light over Hang Fig. 12 Solid & Precise Detail Fig. 13 Mazda Identifying Signature Fig. 14 Vitalizing Interior 4. インテリアデザイン

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