マツダ技報 2017 No.34
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No.34(2017) 今回,Fig. 20の中でも特に頭を悩ませた部品間のR止 ■著 者■ ― 121 ― マツダ技報 5.6 検証部位の特定方法 く見える化してロジックに落とし込んだフローになる。また,各部位を特定する作業の規則性を見出してパターン化し,それぞれを関連付けたことでロバスト性を改善した。このフローをもとにシステムの具体化を開始した。 なお,Fig. 20に示す凹凸Rの凹Rは板金を折り曲げた時の内側のR,凸Rは外側のRを意味する(Fig. 21)。 まりを特定するロジックL2(赤枠)を紹介する(Fig.22)。 これは部品AとBのSW面に接するR面をそれぞれ探し,SW面に接するエッジをR止まりと認識するものである。具体的には,①部品AのSW面に接する凸Rのエッジにサンプル点を発生させる。②サンプル点上の法線方向5.5の考え方のもとプログラムを作成する前に,担当者が検証項目A~Fの部位をどのように探して特定しているのか調査しフロー化した(Fig. 20)。その中で赤字のL1~L10は,特定した箇所で担当者が計測に必要な要素を,どのように見つけ出し計測しているのか,その作業を細かと直交する方向を求める。③サンプル点を法線方向とは逆方向に一定量オフセットする。④オフセットした点から②で求めた方向に無限直線を引く。⑤無限直線と凹Rが接点を持つ場合は検証対象Rと認識する。⑥そのRとSW面に接するエッジをR止まりと特定する。 このように人が思考したり目視で行っているプロセスから上述したような手順を見出し,プログラム化することで漏れなく検証部位を特定する技術を確立した。 今回報告したボディー部品間の隙・干渉チェック自動化システムの開発にあたり,社外メーカー(株)エリジオン様,(株)電通国際情報サービス様には多大なご協力をいただいた。その結果,これまで人がチェック箇所を目で探し計測してOK/NGを判断していた非効率な作業を改善することができた。特にNG箇所を自動で漏れなくタイムリーに抽出する技術は,車体品質の造り込み活動の効率化に貢献できたと考える。今後は,実務適用する中で更なる使い勝手の良さを追求し,引き続き改善に取り組む所存である。 渡部 哲士 德野 礼子 田中 雅之 川西 博実 烏山 義宣 谷口 恵莉 Fig. 20 Inspection Part Identification Flow Fig. 22 Definition of the 凹凸R Fig. 21 Definition of 凹凸R Fig. 22 Way of Thinking to Identify R END(凹凸) 6. おわりに

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