マツダ技報 2017 No.34
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これらの結果から以下の仮説を立てた(Fig. 9)。 ・シールドガス流速が大きくなるほど,シールドガスと %( l il -125- )gaSgndeW 97 2No.34(2017) マツダ技報 に小さいと仮定した。溶接ワイヤ先端からアーク中のプラズマ気流を模擬した高温気体(アークガス)が噴射される状態における気体の定常流れを,ノズル先端内径が13mm,及び19mmのノズルと,10,20,30l/min のシールドガス流量について解析した。 解析は(株)IDAJ社のエンジン専用熱流体プログラムCONVERGEで行い,乱流モデルは乱流運動エネルギーkと消散率の輸送方程式から渦粘性係数を求めるk-モデルを使用した。また,アークガスはシールドガスと同種のArに5%のCO2を混合した2元系混合ガスとし,温度,及び流速は田中の解析結果(8)を参考にそれぞれ15000K,及び200m/sとした。 す。大気はノズル先端から母材付近においてシールドガスに引き込まれている。また,酸素は溶接部近傍に発生した渦の周辺において高濃度で分布し,シールド内全体に拡散している。 4.1 解析方法 Fig. 10にノズル先端内径が13mmのノズルにおける解析の概略図と解析モデルを示す。シールドガスの流速(1~5m/s)は溶接速度(0.01m/s)に対し非常に高いことから,気体流れに対する非定常性や電磁場の影響は非常4.2 解析結果 径ノズルは大径ノズルに比べ,同一流量で流速が非常に大きくなっていることを確認した(Fig. 8)。 大気間に生じるせん断力によりシールドガス外部からの「大気巻き込み」が生じ,スラグが増加する。 ・ノズル径が大きい方が,アーク中心から大気までの距離が大きく,巻き込んだ酸素成分が,アーク直下の高温で活性な溶融金属まで達しにくい。 前述のとおり,ハイアルゴン溶接におけるスラグの生成には溶接中の気体流れが関係すると推測され,その検証に有効な手段は可視化である。しかし,溶接中の気体流れは,プラズマ気流があるため可視化実験が困難である。気体流れのほか,熱輸送や電磁場などが関係する複雑な現象である溶接現象には,確立された解析手法はない。 そこで,MAG溶接のプラズマ気流の噴射に着目し,同様の現象を扱うエンジン専用熱流体解析のMAG溶接のシールドガス流れ解析への適用を検討した (7)。 12 13mm(Experiment) 19mm(Experiment) Shielding Gas Flow Velocity(m/sec)Fig. 8 Relationship between Welding Slag and Flow Velocity (Experiment) Flow Velocity:High Flow Velocity:Low Fig. 9 Schematic of Shield Gas for Welding 8 4 0 0 2.0 4.0 Nozzle Inner Diameter Atmosphere (O2) (1) シールドガスの流れと酸素濃度 Fig. 11にノズル先端内径が13mmのノズルにおける解析領域中心断面での解析結果(流線と酸素濃度)を示30°Arc Gas (a) SchematicNozzleAnalysis Field Shielding Gas 100(b) Analysis FieldFig. 10 Analysis Model Eddy(a) Flow Line(b) Oxygen ConcentrationFig. 11 Analysis Result (Shielding Gas Flow Rate:20l/min) 4. 溶接中の気体流れ解析技術

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