マツダ技報 2017 No.34
135/207
-128- 論文・解説 23要 約 Vehicle Testing & Research Dept. Integrated Control System Development Div. Vehicle Development Div. マツダ技報 従来,インナーミラーやアウターミラーにより死角情報を取り入れていたが,近年では更に広範囲の死角情報を取り込むため,カメラを用いたモニターシステムが導入され始めている。NHTSAのまとめでは,アメリカ市場はバック時の事故で年間平均し210人が命を落とし,1万5000人が負傷している。死者の約3分の1は5歳未満の幼児だという。そのため法規を設け,2018年5月以降は新車にバックモニター搭載の義務化を決定,事故の抑制森林 俊貴*4 No.34(2017)Mazda has been developing various safety technologies according to the concept of “Mazda Proactive Safety”. This year, we introduce a newly developed recognition support technology for low-speed driving, “360°View Monitor”. In the development, focusing on the fact that providing more information improves drivers’ conveniences while it may increase risk of misrecognition, we consider providing information that enables accurate recognition is indispensable. We have studied requirements for image recognition and reflected them into “360°View Monitor” , a driving support system we developed focusing on the safety. Our efforts based on human-centered design concept resulted in this breakthrough technology which enables intuitive recognition in low-speed driving. This system is applied to New CX-8 launched in 2017 followed by Mazda 3 and others. This paper describes a part of our development activities of this system. マツダは「マツダ・プロアクティブ・セーフティ」の考え方に沿ってさまざまな安全技術を展開している。 今年は低速走行時の認知支援技術として新しく開発した『360°ビューモニター』を市場導入する。開発にあたっては,運転時の情報が増えることにより利便性が向上する一方で,誤認知を引き起こすリスクが存在することに着目し,正確な認知ができる情報提供への対応が不可欠と考えた。そこで映像認知性要件を究明し,安全優先で開発した走行サポートシステムを『360°ビューモニター』と名付け,お客様に提供する。その取り組みは人間中心設計の考えに基づくものであり,低速走行時の直観的認知を可能とする画期的技術である。本システムは,2017年に導入する新型CX-8,アクセラの商品改良モデルから順次搭載を進めている。今回はその開発成果の一端を紹介する。 Summary マツダの考える良好な視界とは,「いつでもどこでも見たいものが見える」という状態である。 運転時直接目で見える領域については,人が日常見ている状態と同様であり,自身と周辺との位置関係を理解しやすいが,直接目で見えない死角の領域は何らかのデバイスを用いサポート情報を得ながら運転操作する必要がある。 *1~4 車両実研部 *5~7 統合制御システム開発本部 大坪 智範*1 Tomonori Ohtsubo 森島 茂樹*5 小馬場 英樹*6Shigeki Morishima Hideki Kobanba中村 誠之*2 Seishi Nakamura 松葉 慶暁*3 Yoshiaki Matsuba 竹内 創哉*7 Soya Takeuchi Toshiki Moribayashi 1. はじめに Development of Cognitive Performance of 360°View Monitor 360°ビューモニターの認知性能開発
元のページ
../index.html#135