マツダ技報 2017 No.34
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*4 エンジン性能開発部 *1~3 エンジン設計部 *5 パワートレイン開発本部 *6 パワートレイン企画部 -133- 論文・解説 24 No.34(2017) マツダ技報 新世代クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」(以下従来型)は,トルクフルで伸びやかな加速性能,クラストップレベルの低燃費,NOx後処理を必要としないクリーン性能(1)(2)を実現した。 本稿では,どこまでも走り続けたくなるSKYACTIV-Dならではの加速性能と燃費性能を更に向上し,リニューアルした「新型SKYACTIV-D 2.2」(以下新型)の開発コンセプトとその実現のため採用した新技術について紹介する。 マツダは究極の内燃機関を目指して,熱効率の制御因子の状態を理想に近づける取り組みをFig. 1に示すように,山谷 光隆*1 Mitsutaka Yamaya上杉 康範*4 YasunoriUesugiEngine Performance Development Dept. 続けている。ディーゼルエンジンにおける1st Stepは,超低圧縮比と高効率過給をキーイネーブラにして,複数の制御因子を 連鎖反応的に効率化するSKYACTIV-D燃焼コンセプトを実現した。新型の開発は,同じ燃焼コンセプトを踏襲しながらも更なる効率改善と,2017年以降に欧州から世界各国に広がることが想定されるRDE(Real Driving Emissions)規制をクリアするクリーン燃焼の拡大をねらった。具体的には,次の3つの視点で機能向上を図った。 ・燃料噴射の高精度・多段化による燃費向上 ・過給能力向上による加速性能向上 ・機械抵抗の更なる低減による燃費向上 これらの視点を実現する新たなブレークスルー技術は,概要をFig. 2に示し,詳細を後述する。新型の主要諸元を Table 1に,システム概要をFig. 3に示す。 Kazunori Hirabayashi 平林 千典*2 辻 幸治*5 KoujiTsujiMasayoshi Matsumoto末國 栄之介*3Einosuke Suekuni松本 正義*6 要 約 2012年に発売したSKYACTIV-D 2.2は,低圧縮比と高効率過給をキーイネーブラにした燃焼コンセプトによって,熱効率を支配する制御因子を理想に近づけ,トルクフルで伸びやかな加速性能,クラストップレベルの低燃費,NOxの後処理を必要としないクリーンな排気を実現した。この価値を踏襲しながら,更なる効率改善と2017年以降に導入されるRDE(Real Driving Emissions)規制への適合を視野に入れて,「新型SKYACTIV-D 2.2」を開発し,CX-8に搭載した。本稿では,このリニューアルした2.2Lディーゼルエンジンの開発コンセプトとその実現のため採用した新技術について紹介する。 Summary クリーンディーゼルエンジン新型SKYACTIV-D 2.2の開発 2012 SKYACTIV-D 2.2 embodied a combustion concept with a low compression ratio and high-efficiency supercharging as key enablers and realized torqueful and smooth acceleration, class-top fuel economy and clean emissions without NOx after-treatment systems. Maintaining these values, Mazda has developed new SKYACTIV-D 2.2 and installed on CX-8, with a view to further improve thermal efficiency and comply with the RDE(Real Driving Emissions)legislation beginning in 2017. This paper describes a development concept of and new technologies adopted to the new 2.2L diesel engine. 2012年に発売したCX-5に初めて搭載した排気量2.2LのEngine Design Engineering Dept. Powertrain Development Div. Powertrain Planning Dept. 1. はじめに 2. 開発コンセプトと主要諸元 Newly Developed Diesel Engine SKYACTIV-D 2.2

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