マツダ技報 2017 No.34
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-143- ■ Negatively Correlated ■ Activities in the Tilted Pillar No.34(2017) マツダ技報 感じられた実験協力者において運動知覚や情動処理の機能が働いたことが示唆される。そのため,運転経験が長いことで,実際の運転場面が想起され,ワクワク感の生起に関連していたと推定される。 一方,ワクワク感との負の相関は,運転経験低群には見られず,運転経験高群の左角回(BA39)と楔前部(BA7/31)に見られた(Fig. 6)。このうち楔前部は,ターゲット位置Right2において,脳の活動が,斜めピラー条件において 垂直ピラー条件よりも有意に大きくなった部位と良い一致を示す(Fig. 7)。 これらのことを考えあわせると,運転経験高群では,模擬走行場面においても運動知覚と感情に関わる脳部位がワクワク感と関連して活動し,斜めピラー条件における注意コントロールのための楔前部活動の増大が,ワクワク感を減少させていると解釈することができる。 本研究では模擬環境において運転場面のイメージの想起が比較的小さいと考えられる被験者群において,斜めピラー条件に関連した楔前部の活動とワクワク感に関連が見られなかったが,実際の運転場面では,運転経験高群と同様の現象が起こることは十分考えられる。このため,注意コントロールのための楔前部活動を増大させない垂直ピラー条件に近い長方形に見える窓枠は,全てのユーザーに対して,ワクワクするフィーリングも提供できると考えられる。 これまで,窓枠形状の違いが運転しやすさに影響することが知られていたが,本研究ではこの現象に関連した人間に内在するメカニズムに迫るため,MRIによって脳活動を計測する手段で取り組んだ。 ピラーの傾きの違いに着目したところ,運転しにくい窓枠では注意コントロールに関わる脳部位(楔前部)の活動が増加し,運転経験の長い群では,ワクワク感の減少と相関がみられた。 これらの結果から,自動車の窓枠が長方形に見える窓枠デザインは,注意コントロール負担を軽減し,ワクワク感阻害要因を排除するため,運転しやすく,楽しさにつながるというメカニズムがあると考えられる。 以上より,MRIを用いた脳活動の計測は,自動車運転に関わる認知や注意のみならず,マツダの目指すワクワク感のような感情や情動と関連する感性のメカニズム解明に有用であると考えられ,今後更に適用対象を拡大していきたい。 本研究は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果展開事業「センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム」の支援によって行った。 Fig. 6 Brain Activities Negatively Correlated with the Subjective Ratings of a Feeling of Excitement in the High Driving Experience Group (Mazda Employees; n=16) (Uncorrectedp<0.005 with 20 Vox. Ext.)Fig. 7 The Overlapped Brain Regions between Those Negatively Correlated with the Subjective Ratings of a Feeling of Excitement and those Activated in the Tilted Pillar Condition Relative to the Vertical Pillar Condition Angular gyrus Precuneus (BA7/31) Activities with the Subjective Ratings of the Feeling of Excitement Condition Overlapped Area Left (BA39) 6. まとめ
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