マツダ技報 2017 No.34
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4.2 計算モデル モデルの作成にはJ-OCTA(8)を使用した。GFを模擬したSiO2結晶上に表面処理層を作成し,更にその上に所定量のMAH-PP分子鎖を混ぜたPPの分子鎖集団を配置した。マトリクス樹脂は密度0.95g/cm3としてセルサイズを決定した。表面処理層の分子構造はGC-MS((株)島津製作所製TQ8030)による分析結果から分子構造を推定した。 MAH-PP添加によるせん断強度向上の要因として,①極性の強いMAH-PPと表面処理層官能基との間のvan der Waals相互作用やクーロン相互作用などの非結合相互作用の増加による物理吸着と②MAH-PPが表面処理層官能基と共有結合することによる化学吸着の2つが考えられることから,MAH-PPがマトリクス樹脂に均一に分散している物理吸着モデル及びMAH-PPが表面処理層と結合している化学吸着モデルの2種類のモデルを作成した(Fig. 7)。 -148- )aPM(ssert)aPM(ssert※Not display matrix PP S0 S05 ②Chemisorption Model Fig. 7 Model for Molecular Dynamics Simulation ①Physisorption Model Forced Displacement Matrix resin (PP & prescribed mixing ratio MAH-PP) Surface treatment layer Glass fiber (SiO2 crystal) Encastre 境界条件は周期境界条件下で下部の繊維原子(SiO2)を固定し,上端から10%の範囲にある原子に強制変位を与えた(Fig. 7①)。温度は300Kとした。解析にはOCTA(9)の分子動力学エンジンCOGNACを用い,富士通(株)製CELSIUS J520(CPU:4Core,メモリ:8GB)上で全原子分子動力学計算を行った。 5. 計算結果 に出ており,実験との相関が良くない結果となっているマツダ技報 記述する手法を古典分子動力学,第一原理計算により求める手法を量子分子動力学と呼ぶが,本研究では前者の古典分子動力学法を用いた。 ポテンシャルにはさまざまな形態の式が提唱されているが,ここでは主な対象が高分子材料であることから,共有結合と非共有結合を異なる式で求め,これらの和をとる(6)式を用いた。 No.34(2017)(6)式で用いるパラメーターに対しては複数のデータベースが公開されているが,今回は汎用性の高いDREIDING力場(7)を用いた。 5.1 物理吸着モデル せん断応力の時間変化の一例をFig. 8に示す。応力が一定となる点が界面せん断強度に対応すると考え,応力の増加が緩やかになる150psで表面処理及びMAH-PP添加量の界面せん断強度に与える影響について比較した。その結果,Fig. 9に示すように,MAH-PP添加による界面せん断強度の向上は確認できなかった。また,実験では処理AとBでは有意差が見られなかったが,計算では処理Bの方が界面せん断強度は高くなる結果となり,このモデルでは界面強度向上は説明できないことが分かった。 5.2 化学吸着モデル 計算結果をFig. 10に示す。MAH-PP添加により界面強度が向上する様子が表されている。しかしながら,MAH-PPの増加に比例して界面強度の上昇が見られ,また,実験では有意差のなかった表面処理による差が顕著30Å 7006005004003002001000Fig. 8 Simulation Results using Molecular Dynamics Method on Interface Strengths in Physisorption Model 7006005004003002001000Fig. 9 Relationship between Content of MAH-PP and Simulated Interface Strengths at 150ps Treatment A_MAH 0%Treatment A_MAH 10%Treatment B_MAH 0%Treatment B_MAH 10%100Time(ps)Treatment ATreatment BContent of MAH-PP(Wt%)20030010■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ (6) ■■■■■:結合伸縮ポテンシャル ■■■■■■:結合変角ポテンシャル ■■■■■■■■:結合2面角ポテンシャル ■■■■■■■■■■■■:非結合相互作用 ■■■■■■■■:静電相互作用

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