マツダ技報 2017 No.34
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Table 3 R79 Revision; ACSF Category(8) -155- No.34(2017) 2.3.2.1 自動走行システムに関する基準と規格 ここで示す“基準”とは,日本の道路運送車両法に該当するUN/ECE/WP29(国際連合欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム)で制定されるもので,ISOなどの任意“規格”とは異なり,法的な強制力を持つものを意味する。 2.3.2.2 提案検討中の自動走行システム規格 経済産業省が進めるスマートモビリティ研究開発・実証事業(平成28年~30年)の平成28年度採択事業7項目の中に,下記,3項目の高度な自動走行システムに関するマツダ技報 WP29のGRRF(ブレーキと走行装置の専門部会)は,ACSFのカテゴリC, カテゴリDの改訂基準は最短で2018年中に発行される予定であり(8),2019年のISO発行を計画しているPWI 21202部分的自動車線変更システムの検討よりも,WP29での基準改訂が先行する展開となっている。このため,ACSF基準改訂の国内検討を進める自工会と情報交換をしながら,ISO側の作業に手戻りを防ぐとともに規格開発の早期化の検討を進めている。 この中で,以下の2つのタイプを想定している。 タイプ1: ドライバーが指示した場合,システムが自動的に車線変更を行う タイプ2: システムが車線変更を提案し,ドライバーが承認した際に自動的に車線変更を行う 標準化作業としては,まだ初期段階であるが,動作/中断/中止条件や,試験法などの議論を進めており,日本が規格案の作成をリードしている。 国連規則R79(ステアリング装置)の中で,Automatically Commanded Steering Function(略称ACSF;自動操舵機能)の項目を設けている(7)。 自動走行システムの実用化を進めるため,その改訂が検討されておりTable 3の分類が示されている。前項に 記載したISO PWI 21202 部分的自動車線変更システムのタイプ1及びタイプ2はそれぞれ,下表のカテゴリC及びカテゴリDに該当する。 Category CSF ESF A B1 B2 C D E 注) CSF:Corrective Steering Function ESF:Emergency Steering Function 2016年12月13日,NHTSA(National Highway Traffic Safety Administration;米国道路交通安全局)より,車々間通信機の搭載により,自動車走行の基本安実証事業が含まれている(9)。 ・ トラックの隊列走行の社会実装に向けた実証 ・ 専用空間における自動走行などを活用した端末交通システムの社会実装に向けた実証 ・ 一般車両による自動バレーパーキングシステムの社会実装に向けた実証 これらの3項目について,経済産業省,自動車技術会,採択事業関係者の間で国際標準化に向けた協議が進められており,2017年中にISO/TC204/WG14の標準化作業項目としてISOに登録することが検討されている。 前者は,通常の車間距離制御システム(ACC)をベースとして,先行車の加減速情報を通信で取得し,フィードフォワード制御により応答性を高めるものである。通信範囲,最小車間,最大加・減速度などを規定する。 後者は,走行中の急ブレーキを周囲の車に通信で送信するもので,カーブの先など,後続車のドライバーからは視野外であっても急ブレーキが踏まれたことを知らせることにより,安全性を高めることをねらっている。通信範囲,減速度,車両間の相対速度,試験法などの協議を進めている。 なお,ISO/TC204/WG14では自動車の走行制御技術を規格化の対象としており,車々間通信で使われるデータの内容やそのタイミング,距離などは規定するが,通信技術そのものの規格化は取り扱っていない。 全メッセージ(位置,進行方向,車速,ブレーキ状態など)の送受信を可能とすることをFMVSS(Federal Motor Vehicle Safety Standards;米国連邦自動車安全基準)の要件として提案するNPRM(Notice of Proposed Rule Making;立法案公告)が出された(10)。 原案のまま進めば,2019年に法規が発行され,2021年から小型車への適用が開始される予定となっている。 この立法案公告では,通信周波数として,5,850 ~ 5,925 MHzの75MHzの帯域が指定され,通信技術及び,プロトコルに関してはIEEE(Institute of Electrical and 2.3.3 車々間通信を使う運転支援システムの規格 これまでのISO/TC204/WG14の作業項目の大半は,車載センサーによる環境認識を基本とする運転支援システムを対象としていた。しかし,近年のDSRC 技術(Dedicated Short Range Communication; 近距離専用通信)の普及動向などを踏まえ,車々間通信を用いるシステムとして次の2項目の規格化に着手している。 ・ CD 20035 協調型車間距離制御システム(CACC) ・ NP 20901 緊急電子制動灯(EEBL) Function Objective is not to keep the lane Emergency steering Low speed automated steering (for parking etc. ) Lane keeping(hands on the steering wheel) Lane keeping(hands off the steering wheel) Lane change commanded by the driver Lane change prosed by the system/ driver approval Automated lane change without driver confirmation 3. 米国の車々間通信規格との連携

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